江戸時代に生まれ、いまだに強い影響力を持っている琳派。今回の#みんなの美術史では、その魅力に迫ってみます。

江戸時代は、狩野派など様々な流派が生まれましたが、琳派の一番の特徴は、芸術家たちが互いに会ったことがないということ。ほかの流派は、弟子が師匠から直接、技を学んで流派を引き継いでいるのですが、琳派の場合、時間も場所も身分も離れた人たちが、流派を受け継いでいるのです。

師弟でなかったのにどうして同じ流派だと言えるのでしょう。

それは作品を見ればわかります。芸術家たちは先人の使ったテーマ、構図、技法を真似て「琳派」という流れをはっきり示しています。その一方で、お手本とする作品の作者には会ったことがないので、芸術家達は自分で新しい発見をし、自分なりの解釈を付け加えてオリジナリティが加わっていく面白さがあります。

具体的にどんな作品が生まれたのか、見ていきましょう。

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本阿弥光悦書、俵屋宗達画《蓮下絵和歌巻》(部分)17世紀前半

書、絵画、陶芸など様々な分野の作品を残した本阿弥光悦。彼が琳派の祖のひとりですが、彼自身は、後に自分が琳派の祖になることは知りません。

これは、俵屋宗達が絵を描いて、光悦が和歌を書いたというコラボ作品。真っ白な紙に書くだけでない、このデザイン性は琳派の大事なキーワードのひとつ。琳派の美術は絵画だけではないんです。


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俵屋宗達《風神雷神図》17世紀

琳派のもう一人の祖は俵屋宗達。見たことあるのと少し違う…と思った方もいるかもしれません。それもそのはず、実はこの絵、尾形光琳をはじめ、いろんな人に模写されています。

でも宗達の風神雷神がオリジナルなんですよ。余白をたっぷりとった大胆な構図と、金箔でぴかぴかの背景も琳派の特徴に挙げられます。風神も雷神も生き生きと楽しそうで、彼の作品からはみずみずしい自由さがあふれています。


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尾形光琳《燕子花図》18世紀

光悦や宗達の時代から100年が経ちました。尾形光琳が最初にふたりの先人を真似した人、つまり琳派を始めた人です。琳派の琳は光琳のなまえからきているのですね。背景が金ぴかで、リズム感のある大胆な構図。宗達の奔放さ比べると、理知的な印象を受けます。


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尾形幹山《色絵椿文輪花向付》18世紀

尾形幹山は光琳の弟で、陶工でした。琳派は陶芸も含むのですね。白い椿がデザインされた、江戸町人好みの意匠性が高い、かわいさが特徴です。


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酒井抱一《風雨草花図(通称:夏秋草図屏風)》1821

時代がさらに下って19世紀。酒井抱一が描いたこの絵は、実は俵屋宗達の風神雷神図を、尾形光琳が模写した屏風の裏側に描かれています。まさに時代を超えたつながりを体現する、琳派のコラボレーション作品なのです。

抱一の作品は、他の画家より寂しげなものが多いですね。ではどこが琳派っぽいかというと、植物を描いていることと、色の濃淡がないところ。くっきり形が浮かび上がる、装飾的な効果を狙って描かれました。


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鈴木其一《朝顔図屏風》19世紀

鈴木其一も19世紀の江戸に生きた画家。色といい、浮いているような構図といい、尾形光琳を意識しているんだなぁって分かりますよね。


琳派は海外でも高い評価を受け、グスタフ・クリムトやアンディ・ウォーホルも琳派の流れを受けているといわれています。いつまでも愛される、真似したくなる良さが、琳派には隠れているのでしょうか。


参考図書:辻 惟雄「日本美術史」美術出版社、2002
写真引用元:Wikimedia Commons

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