デザインしてきたのは、道具でしょうか、それとも身体でしょうか。
初めて目に飛び込んできたタイトルが心に響きました。
今年の夏、「美しい義足プロジェクト」で制作した義足が東京・駒場の東京大学生産技術研究所S棟1階ギャラリーで公開されました。
デザインエンジニア、工業デザイナー、そして東京大学生産技術研究所の教授の山中俊治さんと研究室の学生、スタッフが一丸となり、義肢装具士や義足メーカー、選手たちと共に、7年間に渡り取り組んできたのが「美しい義足プロジェクト」です。
義肢はこれまで失われた四肢の代替物として、健常者の身体に近づけることだけが理想とされてきました。そして、多くの切断者は義肢を衣服の下に隠して生活しています。
これまで「本物の足」に見せかけるカバーが使用されることはあっても、義肢それ自体を人工物として美しく見せようというデザインへのアプローチがある義足を見かけることはありませんでした。
「美しい義足プロジェクト」は、これまでに数種類の義足及びパーツを実用化してきました。そして、義足のアスリート達がスタジアムを駆け抜けるとき、隠すものから見せるものへと変わっていきます。
きっと遠くない将来、義肢をデザインの視点で見る場面が多く訪れるでしょう。
デザインと義足の関係を考えさせられます。デザインされた美しい義足を、そしてパラリンピックで活躍する選手を見られるのも、そう遠い未来ではないかもしれません。