マルメ(Malmö)南部の街、ヒリエ(Hyllie)は、オーレスン橋(Øresundsbron)を通じてデンマークの首都コペンハーゲンと直結する、マルメの“玄関口”。
マルメ中央駅(Malmö centralstation)から6分、コペンハーゲンカストロップ空港駅(Københavns Lufthavn)から12分の地点に、ヒリエ駅が新設されて以降、国際展示場、ホテル、オフィスビル、高層マンションなどが次々と建設される、開発地域となっています。
開発著しいこの街のシンボルとなっているのが、スカンジナビア半島最大級のショッピングモール「Emporia(エンポリア)」。
米ワシントンD.C.のスウェーデン大使館「House of Sweden」を手がけたことでも知られる、スウェーデンの建築家ゲート・ウィンゴード(Gert Wingårdh)氏によって、設計されました。
大胆にくりぬいたようなカーブを描く琥珀色のエントランスは、太陽の光や青い空がガラスに反射し、ユニークな風景を映し出しています。
200店以上が軒を連ねる地上三階の店舗フロアを屋上に向かって貫いているのは、巨大な緑のアトリウム。螺旋階段でアトリウムの周りをぐるぐるめぐりながらフロアを行き来していると、まるで緑に包まれるような感覚に陥ります。
螺旋階段を上り、ブルーの多面体ドームを出ると、屋上フロアはパブリックスペース。
ショッピングの合間、外の空気に触れながら一息つく買い物客や、この屋上からマルメの風景を一望しようとする観光客など、それぞれが、自由に、この場所を利用しています。
広場の一角では、ダンスレッスンに、汗を流す人々の姿もみられました。インストラクターのかけ声に合わせて踊る人々の姿は、なんとも生き生きと楽しそうで、私も、たまらず飛び入り参加。ショッピングモールの屋上で、見知らぬ人たちと一緒にダンスするなんて、新鮮な体験です。
広い屋上フロアの中でも、とりわけ、エコシティとして名高いマルメらしい空間が、屋上庭園。
緑や黄色、赤、ピンクといった草花で彩られた丘は、目に美しいだけでなく、遮熱効果によって、省エネにもつながる、エコな仕掛けとなっています。
コペンハーゲンにつながるオーレスン橋が、マルメ西部のヴェストラ・ハムネンに比べてずっと近くに感じられるのは、ヒリエならではの風景。天気がよい日は、対岸のデンマークの街もここから望めるそうですよ。
コペンハーゲンの中心部から20分程度というアクセスの良さから、地元マルメ市民のみならず、デンマークからも、多くの人々がショッピングやグルメを目当てに訪れているというEmporia。
デンマークとスウェーデンというふたつの国がオーレスン橋によって物理的に結ばれ、国境をあまり意識せず、ヒト・カネ・モノがより密接につながり合う、この地域らしさを象徴するスポットとしても、興味深いですね。
Photographed by Yukiko Matsuoka