『詩人 菅原敏の職業図鑑』とは、詩人の菅原敏がすこし変わった職業の人を訪ねて、彼らの職場でインタビューをする連載企画です。

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菅原敏(すがわら びん)

詩人。アメリカの出版社PRE/POSTより、詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。新聞や雑誌への寄稿・連載執筆のかたわら、スターバックスやビームスなど異業種とのコラボ、ラジオやTVでの朗読、デパートの館内放送ジャックなど、詩を広く表現する活動を続けている。Superflyへの作詞提供や、メディアプロジェクト『詩人天気予報』、美術館でのインスタレーションなど、アートや音楽との接点も多い。

◆菅原敏 Twitter https://twitter.com/sugawara_bin



第1回目のゲストは、茶人・松村宗亮さん。全3回にわたってお送りします。

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松村宗亮(まつむら そうりょう)

茶人 SHUHALLY代表。
伝統を重んじながらも“茶の湯をもっと自由に!もっと楽しく!”というコンセプトによる活動が共感を呼び、全国の百貨店やギャラリーまた海外からも招かれ多数の茶会を開催。伝統文化によるチャリティイベントを主催するなど、日本文化の新たな伝統の開拓・発信に努め幅広く活動中。

Vol.1では、松村さんの茶室「SHUHALLY(シュハリ)」の「光る茶室」と、茶道に目覚めたきっかけを、Vol.2では、お茶と現代アートにまつわるお話をうかがいました。


茶室は五感を刺激する「非日常空間」

菅原:今後の野望みたいなものがあったら聞かせてもらえるかな。

松村:せっかくお茶の先生という立場にもなったわけだし、これからも日本文化をどんどん海外の人たちに伝えていきたい。これは自分の中の大きなテーマでもある。

20代の頃に海外で感じた想いというものは、いまでもお茶をやってる原動力だし、そこは絶えず自分の指針として持ち続けたいね。

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松村:あと、やっぱりパリが好きだから、いつかはパリで教室を持ちたい。いろいろ模索はしてるけど、お茶教室だけではちょっと厳しそう。フランスは日本とは違って習い事ビジネスに馴染みがうすいから、毎月1万ほどの月謝を払うハードルはかなり高いよね。

でも、いずれはパリで商売したい。それにいろんな人ともコラボしていきたいね。

菅原:昨年、TEDでヒューマンビートボックスとコラボしてたよね。あれもすごくおもしろかったけど、どんな発想からあのパフォーマンスに?

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Ryotaro Matsumura – TEDxTokyo

松村:お茶室に流れている音っていろいろあって、外からは自然の音が聞こえてきたり、火がパチパチなったり、釜からは湯気がシューシューあがったり。畳をする足の音、水を注ぐときの音もそうだね。体の動きとシンクロして、普段は聞き逃してしまう音も茶室だと聞こえてくる。

でも、その閉鎖間的な楽しさというのは、TEDの大観衆を前にはなかなか伝わらない。だったら、極端に拡大解釈して人間の体から音が出るヒューマンビートボックスで音をつくったらどんな空間になるかなと、そういう感じでやってみた。まあ、賛否両論だったけど(笑)。

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菅原:今後はどんなジャンルの人とコラボしていきたい?

松村:デジタルアートにはすごく興味がある。お茶との親和性も高い気がする。直感的なインターフェイスや、インタラクティブな要素を使ってお茶の世界をつくってみたいね。

お茶の本当の楽しみって、待ち合いがあって、庭を歩いて、心を清めて、狭いところをくぐって茶室に入る。そういった身体的な通過儀礼があってこそお茶の楽しさが深まる。でも、外だとそれができないんだよね。

どれだけ非日常空間を外で再現できるかを考えたら、テントならできそうな気がする。

ドーム型のテントを張って、映写機で映像を流して、プロジェクションマッピングで空間をつくり、そこにお茶のフォーマットを乗っける。見た目は全然違うけど、それならお茶が目指してるものが外でもできるし、海外でもできると思う。

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和室のランマ部分にはグラフィティアートを発見/坂巻善徳 a.k.a. sense

菅原:最後に、松村くんの思う「お茶の魅力」って何だろう?

松村:茶室って現代の人にとっては「非日常の空間」のひとつだと思う。おもしろい美術やアートがあったり、香りがあったり、舌で感じるものがあったり。そういう五感でいろいろと感じることができる「非日常の空間」って意外とないんだよね。

敷居が高いというイメージはあるけど、うちに限って言えばまったくそんなことない。純粋に、新しい価値観とか、美しいものとか、楽しいものに興味のある人は、お茶の世界をきっと楽しめると思うよ。

菅原:昔から茶室は「非日常の空間」だったのかな。

松村:と、思うよ。日常では触れられない美術品に触れる場所でもあるし。いまでいうすごくプライベートな美術館だったんだと思う。当時は、美しきものが手元にある。使えるものとしてある。それは当時の人たちからしたら非日常の空間だったんじゃないかな。

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菅原:今日は楽しい話をたくさん聞かせてもらいました。ありがとうございました。

松村:こちらこそ、ありがとうございました。



Youtubeで公開中の「詩人 菅原敏の職業図鑑 ~茶人編~」



茶人・松村宗亮さんのある一週間

月曜日 教室の定休日。
    買い物や食事など、家族でゆったり過ごす日。

火曜日 10時 出社 メール返信と事務雑務
    12時半 ランチしながら、英語のプライベートレッスン。
    17〜21時 お稽古。仕事帰りの生徒さんがたくさん。
    22時 帰宅

水曜日 午前中 気になる展示や美術館巡り
    14〜17時 お稽古
    19時 初心者向け茶会「いろはの茶会」
    22時 帰宅

木曜日 10時 出社 茶会やイベントの告知作成。
    12時 茶室近辺のレストランでランチ
    14時 桜木町のスポーツジムへ
    18〜21時 お稽古
    22時 帰宅

金曜日 10時 茶会、イベント、取材など、都内で打ち合わせ
    13時 出社。経理、伝票、レシートの整理など、事務作業
    16時 関連レストランにて打ち合わせ
    18時 退社後、友人たちと飲み会

土曜日 10時 お稽古
    14時 男子の生徒さんだけ向けの「男子稽古」
    18時 生徒さんとの飲み会

日曜日 何かしらの茶の湯イベントに参加

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次回の「菅原敏の職業図鑑」もお楽しみに。

菅原敏(すがわら びん)

詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』をリリースし逆輸入デビュー。菅原敏の「詩集」と現代美術家・伊藤存の「刺繍」により実現したアートな一冊として各方面で話題を呼ぶ。
新聞や雑誌への寄稿・連載執筆の傍ら、スターバックスやBEAMS、NIKEなど異業種とのコラボレーション、TV・ラジオでの朗読、クラウドファンディングによるラジオ番組枠の買収、三越デパートの館内放送ジャック、増上寺『眠りのための朗読会』など、詩のない場所へ詩を運ぶ独自の活動を展開している。

Superfly・5thアルバム『WHITE』での作詞や、詩と情報の合間を探るメディアプロジェクト『詩人天気予報』、美術家との企画展など、アートや音楽との接点も多い。
BS11 すずらん本屋堂「東京古本散歩」ではナレーションを担当中。

◆菅原敏 Twitter https://twitter.com/sugawara_bin

Text by Goro Inazaki
Edit by Aya Nakashima
Photographed by Kenta Terunuma

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