大阪府の北東部に位置する街、高槻。

人口はおよそ35万人、大阪市と京都市のちょうど中間地点にあることからベッドタウンとして発展した街です。

この街にいま、新たな文化の発信地が誕生しようとしています。

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「福寿舎(ふくじゅや)」は、元はお酢の醸造所であった築110年を越える町家を、リノベーションにより共同店舗・共同アトリエとして再生させるプロジェクトです。

かつてはお酢を作っていた、古い大きな町家から新たな文化が発信されていくなんて、想像しただけでワクワクしますね。

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わたしルーミーセレクターでコーヒー焙煎家の中村は、昨年秋からリノベーション中の福寿舎で定期的に開催されている「開き家(あきや)」というマーケット&見学会イベントでコーヒーを提供してきました。

訪れるたびにゆっくりと変化していくその過程は、実に刺激的で興味深いものでした。

古い建物を保存しながら再生する作業は大変手間がかかり、熟練した大工の手により1年以上の時間を掛けて進められたのです。

改修工事の過程は、福寿舎ホームページ内「REBORN」で詳しく見ることができます。

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9月のオープンに先駆けて7月26日に行われた「建物完成お披露目パーティー」には、関係者や地域の方100名以上が参加しました。

会場には、歴史ある建物が壊されずに再生された喜びと、この場所でこれから生まれるであろう「何か」への期待とが満ちていました。

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福寿舎プロジェクトのプロデュースを担当した石川秀和さん(株式会社HLC代表)に話を聞きました。

石川さんは「つくるビル」や「SOLUM」など、京都を中心に数々のリノベーション物件を手掛け、若いアーティストやクリエイターたちが活躍する場を生み出し続けています。

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-いよいよ建物が完成しましたが、どんなお気持ちですか。

これまでいくつもの「アートと場づくり」に関するプロジェクトを手掛けてきましたが、本当に難しいのはオープンしてからです。「作り手たちが集まり、新しい何かを生み出していく」このプロジェクトのコンセプトを10年以上の長い時間を掛けて、この街に浸透させていくことが必要です。箱(建物)だけを作っても意味はありません。


-コンセプトを浸透させていくためには、何が必要なのでしょうか。

まずは、若い魅力的なアーティストやクリエイターに入居してもらうことが大切です。彼・彼女らは売れるようになったらここを出て外にお店を構える。そしてまた新しい入居者を迎える。この好循環が生まれるように運営することが必要です。


-プロジェクトの成功には、オープン後の運営が大切なんですね。プロデューサーとして運営者(オーナー)にはどのようなアドバイスをなさったのですか。

アートやものづくりの拠点をつくることで、地域にどのような効果をもたらせるのか。それを運営者自身にしっかりと理解してもらうことが重要でした。そのために他の施設の事例を一緒に見て回り、その意味を肌身で感じてもらうところからスタートしました。

その後、「開き家(あきや)」というマーケット&見学会イベントを定期的に開催したり、地域の手作り市に福寿舎プロジェクトとして出店するなどしました。これらを通じて運営者には、地域が求めていることや福寿舎のやるべきことなどを理解してもらえたと感じています。なので、福寿舎は大丈夫。成功すると思います。

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続いて、福寿舎の運営を担当する永井丈裕さん(株式会社福島屋)にお話を伺いました。

永井さんが所属する、このプロジェクトのオーナーである株式会社福島屋は、高槻を拠点として不動産業を営んでいます。


-これまでプロジェクトを進める中で、永井さんにとってどのような点が難しかったですか。

最初は何もかもが手探りでした。私は不動産屋で、アートやシェアアトリエを作るといったことに関しては素人です。「開き家」というイベントでマーケットをやりましたが、最初はお客さんも少なく、どうしたら良いものかわかりませんでした。それでも、何度も開催するうちに少しづつお客さんが増えていき、地域の方にも認知されつつあるという実感が出てきました。


-現時点で入居者は半分ほどが決定しているとお聞きしました。今後、どのような方に入居して欲しいですか。

漠然と何かを作りたいという人ではなく、具体的な目標を持ってものづくりに取り組んでいる方を求めています。「福寿舎」という場所を使って、一緒に高槻の文化を作っていくという気概のある方に入っていただきたいですね。


-これからの福寿舎について教えてください。

9月にオープンを迎え、本格的な運営がスタートします。その後は、入居者のみなさんと一緒に様々な企画を考えてイベントなどを行っていきたいですね。また、入居者以外の方からも福寿舎を活用するアイデアをいただければとも考えています。すべてがこれからなので、色々なことを試していきたいです。


-今後の福寿舎の動きを楽しみにしています!ありがとうございました。

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このプロジェクトには、他にもまちづくりプランナーや、デザイナーなど、多くの方が関わっています。わたしは一年近くみなさんとイベントを通じて交流してきましたが、本当に魅力的な方々ばかりで、毎回足を運ぶのが楽しみで仕方がありませんでした。

全国的にかつての「箱(建物)づくりによるまちづくり」が見直され、コミュニティデザインなどの手法を取り入れる事例が増えてきています。そんな中、まさにこの福寿舎プロジェクトは、「箱作り」ではなく、様々な分野の専門家が地域を自然な形で巻き込みながら新しい文化の発信を目指す取り組みとなっていると感じました。

生まれ変わった町家に様々な作り手が集い、どんな高槻発の文化が生まれるのか。関西にまた一つ、面白いスポットが誕生します。

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福寿舎にはすでに、着物や掛軸などの和物創作アーティストや、フェルトを使った小物・アクセサリーのクリエイターなどの入居が決まっているそう。また、オープン以降は一般の方も作品の購入やアーティストとの交流が楽しめる場所になります。

入居希望の方も、アートや建物に興味のある方も、ぜひ一度現地を訪れてみてください。

福寿舎(ふくじゅや)
Address: 大阪府高槻市城北町1-9-6
Tel: 072-674-1127(株式会社福島屋)
E-mail: fukujuya.takatsuki@gmail.com
Web: http://fukujuya-takatsuki.com/

photographed by Mayumi Nakamura

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