代官山駅を降り、おしゃれなメゾンを横目に並木橋を目指して歩く。ガソリンスタンドを曲がった先に、緑が溢れる建物「SodaCCo」が現れます。
その2階に、サンドイッチ&カフェ「Bird」があります。
代官山のカフェ、と聞くとモダンな内装で、入るのに少し緊張するお店かと思いきや、ここは少し違います。そこはまるで、「公園でピクニックをしているような感覚が味わえるカフェ」なんです。
一体どんなカフェ? まずは料理から紹介していきます。
肉・魚・野菜。シンプルな3種のサンドイッチ
サンドイッチはわかりやすく、肉・魚・野菜の3種類です。季節によりメニューは変わりますが、基本のサンドイッチメニューはこの3つです。
お肉のサンドイッチは、天然酵母バゲットに、塩豚のオレンジ煮込み、ベトナム風なます、パクチー、ゆで卵が入った、アジアンテイストのサンドイッチ。
お魚のサンドイッチは、ハーブフォカッチャ、カジキマグロのハーブマリネ、季節の柑橘、くるみとクリームチーズのディップ、人参のラペ。
お野菜のサンドイッチは、ハーブフォカッチャ、季節のグリル野菜、バルサミコと赤ワインのソース、フムス。
サンドイッチ以外にも、キッシュや肉と野菜の2種類のラップサンド、フルーツサンド、たまごサンドがあります。
芝生が敷き詰められた、まるで公園のような店内
「ピクニックをしているような感覚が味わえるカフェ」。その理由は、内装にあります。店内に入ると、そこには一面芝生が敷かれた空間。屋内ながらも、春先の緑いっぱいの公園にいるかのようです。
テーブルと椅子も用意されていますが、芝生に直に座ってもいいとのこと。クッションや低めの椅子が用意されており、椅子をテーブル代わりに、芝生に座って、自分なりのリラックス空間を作っている方がいました。お客さんが過ごしたいように過ごせる空間です。
壁一面の本棚には、松陰神社前にある古書店「nostos books(古書ノストス)」セレクトの本が並びます。ファッションやアート、中には錯視の本まで多種多様です。こちらは、すべて購入可能です。
また、店内のメニューボードや備品は、さまざまなアーティストが手がけたもの。こちらは、廃校になった学校の体育館の床材を使用したチョークボード。静岡の藤枝にある洋服屋「CO.NNECT」によって手がけられたものです。
こちらは実際に体育館で使われていた照明です。
サインペインター「Pelt Sign」によるアートピース。
サインペイントやチョークアートも見られます。備品一つ一つ見るのも、Birdの楽しみ方のひとつです。
テラス席もあります。直接陽が当たらないようにサンシェードがあるので、夏でも気持ちいい時間が過ごせそうです。
「サンドイッチはクリエイティブな食べもの」
オーナーは、松陰神社前でカフェSTUDYを運営する、鈴木一史さん。メインメニューにサンドイッチを選んだ理由は、
サンドイッチは、何を挟んでもいい。それがすごいクリエイティブだなと思って。
といいます。
料理の素材にはこだわっており、鈴木さんの知り合いが手がけたものを使用しています。野菜は、旅する八百屋「青果ミコト屋」と青山ファーマーズマーケットにも出店している「サニープロダクツ」、パンは鎌倉農協連即売所にお店を構える「PARADISE ALLEY BREAD&CO.」と世田谷区野沢の「BOLSO」のもの。
基本的に、仕入れる食材は信頼をおける人から入れています。だから、その他の素材にもこだわりたいと思い、例えば、フルーツサンドに使っているジャムは、自家製で作ってます。出来合いのものを使って出すのはやりたくなくて。そのほうが、お店としてのメッセージをお客さんに伝えることもできますから。
このユニークな内装については、
元々始めるなら、サンドイッチ屋をやりたいと思っていました。それで、サンドイッチを食べるなら芝生でしょ、と。それでこの空間ができました。
とのこと。
決まったテーブル、椅子に座らなくてもよいフリーアドレス制、公園のような内装。ピクニック気分が味わえるのは、そんなBirdの自由な空間にあります。
いままで味わったことのないカフェが、ここにはありました。
Photographed by Kenta Terunuma