優雅な曲線を使った建築や家具は、ヨーロッパのあちこちで見かける機会がありますよね。今回の#みんなの美術アール・ヌーヴォーです。作品自体は判別しやすいので、そこに込められた思想なども、ぜひ覚えてみてくださいね。

アール・ヌーヴォーとはフランス語で「新しい芸術」。この美術運動の発信地となった、ギャラリーの店名にちなんでいます。今はもうありませんが、パリで、日本の美術品や、当時の工芸品を扱っていたようです。

アール・ヌーヴォーは色んな思想が入り混じっていてややこしいのですが、前後の時代の流れの中で説明しますね。

19世紀、産業革命によって、安くて質の悪い製品が作られるようになります。そこで昔ながらの手仕事の良さが主張され、生活のなかに芸術を取り入れることが呼び掛けられました。これをアーツ・アンド・クラフツ運動といいます。同時に、万博によって日本美術への関心も高まっていました。これをジャポニスムといいます。

19世紀末、2つの流れを受けつつも、昔や遠い国への憧れより、今、ここならではの作品を作ろうと考えるようになります。心の中を形で表現しようとする象徴主義を取り入れ、鉄やガラスなどの新素材を用いました。そして、自然の美しさをお手本としたアール・ヌーヴォーとなったのです。

しかし、アール・ヌーヴォーの曲線モチーフは職人技なので、値段を安くすることができません。20世紀になって、直線モチーフを使うアール・デコへと変化していきます。大量生産が可能となり、多くの人に作品が広まりました。

つまりアール・ヌーヴォーは、近代技術と芸術がバランスの取れる点を探す、道の途中に位置していると言えるのではないでしょうか。

では具体的な作品を見ていきましょう。

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まずは、ベルギーの建築家で、アール・ヌーヴォーの創始者と言われる、ヴィクトール・オルタ。鉄骨がたくさん使われているのが見えますね。のびのびとした左右非対称の曲線が建築に使われるのは、当時は革新的なことでした。世界遺産≪タッセル邸≫

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上記のオルタの作品を見て感動し、アール・ヌーヴォーの道に入った、エクトール・ギマール。今もパリの名物である、地下鉄の入り口をデザインしました。彼が、街の景色の中に、アール・ヌーヴォーを定着させたのでした。≪アベッス駅≫

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次は、私も大好きなアルフォンス・ミュシャ。チェコ出身の彼は、女優のサラ・ベルナールと契約し、彼女のポスターデザインなどで一躍人気になりました。美の世界にひたる、世紀末の退廃的な雰囲気の女性。植物モチーフの装飾。ポスターという大衆向けで近代的なメディア。これぞ、アール・ヌーヴォーです。≪ジスモンダ≫

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エミール・ガレもアール・ヌーヴォーの代表者。ガラス工芸と同時に植物学も学んでいた彼は、植物や昆虫を作品に取り入れます。実用品を作る職人は、絵などを描く芸術家に比べて立場が低かったのですが、工芸と芸術を2つ合わせることによって、芸術は本来何のためのものなのかということを問いかけていました。彼の作品からは、作る喜びを感じますし、人々の生活を豊かなものにしたいっていう想いが伝わってきませんか。≪フランスのバラ≫

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アール・ヌーヴォーの流れはヨーロッパを飛び出し、アメリカにも広まりました。ジュエリーブランドとしてみなさんご存知のティファニー。その設立者の息子、ルイスコンフォート・ティファニーはガラス工芸品デザイナーとなり、アール・ヌーヴォーの流れを受けた優雅な作品をたくさん残しました。≪秋風景≫

日本でも人気のアール・ヌーヴォーは、展覧会も頻繁に行われるので、ぜひ足を運んでみてください。

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参考図書:西洋美術史
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写真引用元
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