先日、ルーミーでご紹介した「ジェイムズ・キャッスル展」に行ってきました。

場所は清澄白河から千駄ヶ谷に移転したばかりの小山登美夫ギャラリー。副都心線の北参道駅から徒歩2~3分という好立地です。

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小山登美夫さんは、村上隆さんや奈良美智さんなど世界トップクラスのアーティストを世に送り出してきたギャラリスト。その小山さんが、ギャラリー移転後の初の展覧会に選んだアーティストが、ジェイムズ・キャッスルです。

<ジェイムズ・キャッスルとは?>

1899年アメリカ・アイダホ生まれの作家。1977年没。生まれた時から耳が聞こえず正式な美術教育を受けなかったが、独学で多くの作品を制作。暖炉のすすと唾液を混ぜた独自のインクと、尖った棒や丸めた綿などを使って描いたドローイングや、食べ物、製品の包装、マッチ箱や手紙等を使った、コート、人物、動物のコラージュの立体作品などを残した。

このジェイムズ・キャッスルの作品を日本で初めて紹介するのが、「ジェイムズ・キャッスル展」なのです。

ギャラリーに入ると、モノクローム、カラーを含む 30点近くの彼の重要なドローイングや、コラージュの立体作品が展示されていました。

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カラーのドローイング作品。

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キャッスルが過ごしたアイダホ州の地方における、彼の身の回りのもの—農園の風景、家の中、人物、静物などを、まるで色あせた写真のように描いています。

名刺ほどのサイズの小さな作品も。

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こちらは絵本。装丁も全てアーティスト本人が手がけたのだとか。

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この下の作品、上の方がほんのり赤くなっているのが分かりますか? 実はこちら、赤色の製品パッケージの裏に描かれたドローイングなのです。

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クオリティは全く異なりますが、まるで私たちがチラシの裏に絵を描くかのよう。彼にとっては、目の前にあるもの全てが作品の種になっていたんでしょうね。とても自由な感覚でドローイングに向かっていたことが伝わってきます。

こちらは立体作品、「無題(バスケット)」。

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キャッスルはタイトルや日付をそれぞれの作品に残しませんでした。

海外ではキャッスルの個展が数多く開催されています。そのひとつのカタログには、彼が手掛けた作品の数々が収録されていました。

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ジェイムズ・キャッスルは、16歳くらいから毎日毎日、周りの風景や室内、動物、車、人物を描いたり、文字を使ったコラージュのような作品を遊び心たっぷりに作っていたそうです。作品を売るということはなしに。そして作品が初めて展示されたのはポートランド。彼が56歳の時でした。

そのジェイムズ・キャッスルについて、小山登美夫さんが下記のメッセージを出されています。

「彼の作品を見ていると美術というか、なにかをつくるという衝動の根源がみえてくるような気がします。マーケットが中心になってしまった今の美術の世界とその作品は距離を置いたところで制作されました。ある意味で幸福な状況で制作ができたといえるでしょう。是非、キャッスルの手で好奇心たっぷりにつくり出された作品をお楽しみください」

MOMAやホイットニー美術館など数々の美術館でパブリックコレクションされ、昨年はスミソニアン・アメリカン美術館で個展を開催されるなど、海外で高く評価されているジェイムズ・キャッスルの日本初の展覧会。

7月18日(土)まで小山登美夫ギャラリー開催されていますので、ぜひ会場へ足をお運びください。

ジェイムズ・キャッスル展
会場:小山登美夫ギャラリー
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-10-11
会期:2015年7月18日(土)まで
時間:11:00~19:00
休廊日:日、月曜日 及び祝日
入場無料

Photographed by 岡本英子

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