美術館にアートを見に行くのも良いですが、少し気分を変えて、バーで食事とお酒を頂きながら書の作品を楽しんでみませんか?
恵比寿のイタリアンワインバー「dolce wine cafe Vinsanto」で、6月8日(月)~7月5日(日)まで書家KAMARIさんの個展「KAMARI works 2015 “LIFE”」が開催されています。
KAMARIさんは5歳から書を始め、東京学芸大学 教育学部 書道教員養成課程を卒業。書の教員を志していましたが、阪神淡路震災を機に「伝える」ことの大切さを痛感し、ボーダフォン株式会社、ソフトバンクモバイル株式会社など17年に渡り移動体通信事業に携わっていたそうです。
その間も書の団体には属さない独立書家として活動を続けていましたが、2014年に独立。現在、書家として活動しながら、未来へ書を継承していく書道塾「継未-TUGUMI-」を東京、大阪、京都、愛知、山形など全国12ヶ所で主催しています。
そのKAMARIさんにお話を伺いました。
—「KAMARI works 2015 “LIFE”」には、どのような思いが込められているのですか?
書家として独立してからの今までを振り返り、この1年で感じたこと、創り上げてきたもの、大切なことなど、たくさんの念いを「2015“LIFE”」として表現しました。全作新作、全作淡墨(たんぼく)という意欲展です。
—淡い墨色の“淡墨”にした理由はあるのでしょうか?
書家として独立して1年目の淡い穏やかな内なる念いを表現したかったからです。弾ける前というか、成長途中の伸びしろや、まだ未完成の自分など、完全に飛び立つ前の凪のような感じを全編通じて淡い墨色で表現しました。穏やかに青くほのめく感じの念いが表現できたと思います。
—今回の個展で展示されている作品数は?
全12作品です。書家として独立してからの1年間、大切にしたい言葉をストックし続けていたのですが、今回その中からセレクトした12の言葉を書にしました。
最初に書きたかったのは、漢数字の「一」で、「はじまり」という作品です。これは一筆で書きました。歩み出した時をシンプルな一本の線で表現したかったんです。画数の少ない一本の線で表現するのはとても難しいのですが、だからこそ独立して最初の作品にしたかったんです。今しか書けない「一」があるので、また何年後かに「一」を書いたら全く違ったものになると思います。
—文字だけでなく、絵のような書もありますね。
書は、文字を書かなくても、黒と白で切り取った世界を表現することができます。それを形にしたのが、今回展示している「Peace」や「Love」という書です。
例えば「Peace」は「その羽で世界を包む」と副題をつけたように、柔らかな羽で包み込む様子を黒と白で表現しています。他にも「手」という漢字を象形文字で書いた書もあります。
ぜひ会場にお越し頂いて、作品からほとばしる念いを感じ取って頂きたいです。そして明日からの新しい毎日が、真新しい毎日へと繋がりましたら嬉しいです。
「文字を書くことが少なくなった今、文字をしたためる行為に時間をかけることで気持ちをより強く深く込めて、大切な相手に念いを届ける事ができますよ」と語るKAMARIさん。
皆さんは、大切な人に、またはご自分に、どんなメッセージを送りたいでしょうか?
そのヒントがKAMARIさんの書にあるかもしれません。
会場:dolce wine cafe Vinsanto
住所:東京都渋谷区恵比寿西 2-1-7
会期:2015年6月8日(月)~7月5日(日)
時間:月~土 18:00~26:00、日・祝 18:00~24:00
<書家KAMARI>
1973年5月5日 福井県出身。書団には属さない独立書家として活動しながら、未来へ書を継承していく書道塾「継未-TUGUMI-」を全国12カ所にて主催。2010年にはソフトバンクの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第一期生として選考され、初年度一位の成績を修める。また17年のビジネス経験を踏まえて、市民大学 書道教員、プレゼンテーション講師、ビジネスコンサルタントや講演/対談等も多数実施。 一般社団法人 「継未 -TUGUMI-」代表理事。日本能率協会パートナーコンサルタント。
Photographed by 岡本英子