空気抵抗がなければ重いものも小さいものも同じ速度で落下する―小学校の時に理科の授業で習いました。でも、どうも想像し辛いですよね。
単純だけどなかなか一般人にはできない実験を、こちらのテレビ番組がやってくれました。
こちらはNASAのスペース・パワー施設と言われるもの。この大きな筒状の空間を真空にすることで、宇宙空間を再現できるそうです。
まず最初に空気がある状態で、ボーリングの玉と羽が吊り上げられます。
世界で一番大きな真空装置の天井へと上がって行きます。元々は原子力推進システムの実験のために作られた施設だそうです。
一番上まで上ると、同時にふたつの物体のレバーが放されます。
ドカーンと大きな音をたてて、下の箱へ落下するボーリング。
遅れてふわっと羽が落ちて来ます。空気があると、明らかにボーリングの方が速く落下しますね。
そして今度はいよいよ真空状態で実験です。装置のドアが閉まります。
コントロールルームの指示の下、空気が抜かれていきます。
では見てみましょう。つり下げられた全く重さの違うふたつの物体。真空状態で落下します。
パッと放されると
全く同じスピードで下へ落ちて行きます。
羽の細かい毛も全く動かずにまっすぐと落ちて行くのはすごく違和感を抱きます。
そして見事に同時に落下。
どかーん。
真空状態での落下だけ見たい人は動画の2:51まで飛ばしてみて下さい。実に不思議な光景です。
しかしこのYouTube映像が面白いのはこの実験だけじゃないんです。
番組の最後は司会者のブライアンさんのちょっと考えさせられる言葉で締めくくられます。
アイゼック・ニュートンなら、ボーリングと羽は重力という力に引っ張られるから落下した、と言うでしょう。
でもアインシュタインは同じ現象にたいして違う見方をしたでしょう、と続けます。
ボーリングと羽が「一緒に落ちた」ことの理由は、それらが実は落ちたのではなくてそれらに全く何の力もかかっていない状態で「静止していた」からからだ。
さらに頭を悩ませるアインシュタインの結論がこちら
「もしも背景が見えなければ、このふたつの物体が地面に向かって加速していることを知ることは出来ない。」アインシュタインは結論付けました。
「つまり、このふたつの物体は地面に向かって加速しているわけではない。」
YouTubeのコメント欄を見てみると映像に単純に感動した人たちも多いですが、この最後の話にひっかかった科学ギークたちもたくさんいたようで、物理学の専門家を名乗る人たちも巻き込んで議論になっています。いくつか見てみましょう。
最後の所でブライアンは何を言ってるんだ? これは非慣性系なんだから加速していることは示すことはできるだろう。アインシュタインの超重要な仮定のひとつだ。
― Jonathan
たぶんブライアンが言ってるのは、ボールと羽が重力によって引っ張られて地面に向かって加速しているのか、それともボールと羽が静止していて、地面がそのふたつに向かって加速しているのか、区別することはできないってことじゃないの? 物理的な結果は一緒でも、現象が”実際に何が起きているのか”を知ることはできないってことだろ。
― Panda
いや物体の落下が慣性座標系じゃないことを示すことができる実験はあるんだから、それを示すことはできるだろ。相対論的力学/特殊相対性理論を学ぶ前に最初に教えられることだよ。
― Jonathan
皆さんはこの最後の説明、分かりますか?
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