世界最大級の家具・雑貨チェーン、イケアは、これまで、外部のデザイナーやクリエイター、開発者、職人らとの新たな商品や手法、ソリューションを創り出してきました。
近年、著名デザイナーや世界各地の伝統工芸とのコラボレーションなど、そのカタチはより多彩になっています。
最新コレクション「VIKITGT」も、そのひとつ。
スウェーデンを代表するガラス・陶器デザイナーのインゲヤード・ローマン(Ingegerd Råman)さんと、ベトナムの職人たちがコラボレーションしました。竹やラタン、ホテイアオイなど、ベトナムの天然繊維を原料から生まれたクラフトマンシップ溢れるアイテムです。
商品開発にあたって、インゲヤードさんらは、製作の現場となったベトナム南部に出張。デザイン工程の大部分は、現地の工場で行われました。
インゲヤードさんと地元の職人たちが空間をともにし、ときには、膝をつきあわせてものづくりに取り組んだことによって、デザインから生産までのプロセスがシームレスに進んでいったそうです。
シンプルゆえに優美さが際立ち、ナチュラルな温もりも伝わってくるランプシェード。やわらかく包み込むような佇まいのなかに、凛とした美しさを秘めた、インゲヤードさんの人柄が感じられます。
繊細な編み模様には、職人の技が光ります。編み模様のすきまから洩れる明かりが、住空間をやさしく照らしてくれることでしょう。
もちろん機能面も重視。カゴの底は隙間なく編み込まれ、丈夫に設計されています。
このコレクションでは、インゲヤードさんの専門分野である、陶器とベトナムの天然繊維を組み合わせたプロダクトもリリース。
長年のキャリアにおいて、竹やラタンなどの素材を扱ったのは今回のプロジェクトが初めてだったそうです。インゲヤードさんにとっても、これまでの陶器での経験を活かした、新たな素材とのコラボレーションは貴重な機会となったことでしょう。
「VIKITGT」のプロダクトは、イケアのデザイン哲学「デモクラティックデザイン(Democratic Design)」で定義されているデザイン性・機能性・持続可能性の要素とも合致するもの。
それと同時に「無名の職人たちが生み出し、量産され、庶民の日常生活に用いられる日用品にこそ、美が存在する」という日本の民芸の思想にも通じる、機能性と美しさがあるように感じます。
イケアストアで「VIKITGT」に出会える日が、待ち遠しいですね。
今回ルーミーでは、イケアからオファーがあり、スウェーデンの故郷であるエルムフルトを訪れました。エルムフルトの他に、ストックホルムやマルメなど、スウェーデンの都市についても紹介していくのでお楽しみに。
Sweden Trip Diary
#ストックホルム
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Photographed by Magnus Glans