春夏、秋冬、更には最近ではリゾートやホリデーも主流になり、年に数回のコレクションを発表するファッションデザイナー達。顧客、メディア、そして社会そのものまでも惹き付けるようなファッションをつくり出し続ける彼らにとって、アートの世界は貴重なインスピレーションの源です。
今回はそういった才能溢れるファッションデザイナーの中で、自身のアートコレクションの秀逸さでも知られている数名をご紹介します。
ラフ・シモンズ
元々は建築家であり、1991年のマルタン・マルジェラのコレクションに触発されファッションデザインに転向した異色の経歴を持つラフ・シモンズ。自身のブランドと並行し、ミニマリズムを追求したジル サンダー時代を経て、2012年よりディオールのクチュールとプレタポルテをディレクションしています。
その彼の様々なコレクションで頻出するスターリング・ルビーのアートは、ラフ本人もいくつか所有しているそう。その他にも、エヴァン・ホロウェイ、マイク・ケリー、ブライアン・カルバンといったアーティストの作品を収集しており、彼のファッションに大きな影響を与えています。
スターリング・ルビーとラフ・シモンズ
トム・フォード
かつてはグッチのクリエイティブディレクターを務め、映画監督としても活躍するトム・フォード。彼のアートコレクションは、いわゆる優良投資先である銘柄のいいアートに重きを置いているようです。例えば、アンディー・ウォーホル、アレクサンダー・カルダー、アド・ラインハート、そしてエルズワース・ケリーといった作品を所有しています。
“Split”, エルズワース・ケリー
カール・ラガーフェルド
80歳を超えてもなお、シャネル、フェンディ、そして自身のブランドにてコレクションを発信し続けるスーパースターデザイナーのカール。シャネルのランウェイは毎回テーマに沿った革新的なスタイルで知られています。そんなファッションショーをつくる彼は、やはり空間そのものへの興味も強いようです。彼のローマの豪邸は、20世紀にその名を馳せたウィーン工房の家具が溢れ、そして同じくローマの別宅は、「1800年代のノルウェイ画家のアトリエ」というテーマが広がっています。
リック・オーエンス
メンズ、レディースともに、個性的でありながら完璧なカッティングとドレーピングで身体を魅せるスタイル作りに定評のあるリック・オーエンス。
その彼のパリの自宅には、やはり彼のデザインに近い、一つの型にははまらないアートが。
自分でデザインする家具とともに、スカーレット・ルージュのフラスコ架、ジオローゲス ホオエンチェールの壷、そしてバリー・X・ボールによる大理石の彫刻がまるでギャラリーのように飾られています。
そして日本からは三宅一生
六本木の21_21 DESIGN SIGHTも立ち上げたほど、アートへの思い入れが強い。かつてコラボレートしたことのあるアーティスト、ティム・ホーキンソンのリサイクル マテリアルによるアートをパリの自宅で所有しています。
“H.M.S.O”, ティム・ホーキンソン
その他にも、マーク・ジェイコブス、ミュウッチャ・プラダ、トミー・ヒルフィガーなど、名だたるファッションデザイナーが貴重なアートコレクションを有しています。
アートとファッションの関連性はやはり切っても切れないものであり、そしてデザイナー達は、自身の愛する美術品に囲まれた中で、次々と新しいアイデアを得ているのですね。