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張り込み。ドラマや映画で、刑事が物陰から見張っている光景を思い浮かべます。

ナナロク社の「張り込み日記」は、60年前の日本の実際の犯罪捜査の密着写真集です。

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イギリスの古書店のバイヤーが神保町で発見したことをきっかけに、2011年にフランス版が刊行された「張り込み日記」。その後2013年に、roshin booksより日本版が出版されました。今回紹介するのは、構成と文に乙一を起用したナナロク社版です。

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写真それぞれには何の説明もありませんが、そんなことは問題ではないぐらいに引き込まれてしまいます。

事件捜査を追体験できる構成は、写真集でありながらも小説を読んでるようでもあります。

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僕がこの写真集に感じていたテーマは「日本」だった。
太平洋戦争終結から十三年ほどが経過しているとはいえ、戦後の気配を色濃く写真の中に感じることができたし、事件解決の直後に東京タワーが完成していることも印象的だった。

ページをめくるうちに建物が高くなり、背景となる都市の暗闇は増す。二人の刑事がその深奥へと入っていくような構造にしたかった。人探しをする刑事の姿に、都市に埋没しそうな自我を探す現代人の姿を重ねた。刑事が探していた男の正体に関しては、本来の名前を捨て他人になりすまして生きねばならなかったという事実が、日本の抱えているテーマに合致するような気がして腑に落ちた。もちろん、それらは僕が勝手に写真から感じていたイメージであり、読者の皆様はそれぞれにこの写真集をたのしんでいただけたらなとおもう。

乙一(本書構成)によるあとがきから、抜粋

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東京タワーができる前の知らない東京。60年前の風景を捜査の横で満喫するのもいいかもしれません。

渡部雄吉写真集『張り込み日記』 [ナナロク社]
Stakeout Diary [roshin books]

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