来たる6月2日から7日までの6日間、ドイツ・フランクフルトにて、「第15回Nippon Connection」が開催されます。

Nippon Connectionは、ドイツで行われる日本の映画祭

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1999年に映画学を専攻する2人のドイツ人学生によって初めて開催されたその年から、1500人と見込んでいた来場者が、実際には約10,000人もあったというのだから、その注目度の高さには驚きます。

私は前回の第14回Nippon Connectionに参加しました。徒歩圏内の3つの会場を使って行われるのですが、どこも溢れるような熱気。上映作品や時間帯によっては、チケットのキャンセル待ちの人などでごった返し、会場に入るのも一苦労なほど。

もちろん、大きな上映会場もびっしり満員になります。その多くがドイツ人で、日本の映画に興味を持っていてくれる人がこんなにいるのか、と嬉しい気持ちになります。

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ところで、ドイツでドイツ人に囲まれて日本の映画を観るという体験は、日本で日本人に囲まれて観るのとは、ちょっと違ったものでした。

例えば前回、日本でも評価の高かった是枝裕和監督の『そして、父になる』を鑑賞した時のこと。

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なんとも切なくなるテントのシーンでの一言にホロリときていた私の周りでドっと起こる笑い。日本人のわたしは「いやいや、ここ、笑っちゃダメでしょ!」と焦ってしまったり、深田晃司監督の『ほとりの朔子』では日本の風景に感嘆、そしてやはり日本にしかない文化、“ラブホテル”の設定がウケていたり。

映画館で観る映画は、自分と映画の関係性だけでなく、一緒に鑑賞している人の空気の影響を受けます。ドイツに住む日本人にとって、Nippon Connectionは、ただ日本の映画を映画館で観られる、という喜びに加えて、自分の常識とはまったく違ったリアクションに、「じゃあ逆に、私はなぜこの場で悲しかったのか」と問いただしたり、見過ごしてしまうものへの再認識など映画を見て生まれる感情に、一層深く向き合うことになる時間でもあります。

もちろん、自分とは違ったリアクションを面白がるもよし。あそこはこうでこうだから悲しい場面じゃない?なんて議論を交えるのもよし

Nippon Connectionのいくつかのカテゴリーは、観客によるコンペティション形式になっているのですが、もちろん、多くのドイツ人のフィルターを通して選出されますから、日本とは違った結果になるのも面白いところ。

ちなみに去年の第14回Nippon Connectionでは、第1位となったのは介護をテーマとした『ペコロスの母に会いに行く』。大いに笑いがわき起こったこちらを含め、第2位『謝罪の王様』第3位『ヨコハマ物語』と、笑顔や笑い声の溢れそうな映画が人気のようです。

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さて、6月2日から始まる今年のNippon Connectionも、上映作品とスケジュールが発表されました。



NIPPON CINEMAカテゴリー (劇場公開作品コンペティション)

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『百円の恋』『座頭一』『箱入り息子の恋』『天の茶助』『花宵道中』『野火』『の一生』『さよなら歌舞伎町』『トレジャーハンター・クミコ』『味園ユニバース』『私の男』『ぼくたちの家族』『喰女』『紙の月』『寄生獣』『寄生獣 完結編』『円卓こっこ、ひと夏のイマジン』『野のなななのか』『島の色 静かな声』『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』『太秦ライムライト』『水の声をきく』『渇き。』



NIPPON VISIONカテゴリー(インディペンデント作品のコンペティション)

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『-1287』『0.5mm』『3泊4日、5時の鐘』『The Cockpit』『デュアル・シティ』『天に栄える村』『はいさいゾンビ』『鼻目玉幸太郎の恋』『ハロー、スーパーノヴァ』『鈴木光スペシャル (God and Father and Me)、(Mr.S & ドラえもん)、(Das Strahlen)、(Fukushima Berlin 2)』『息を殺して』『IN & OUT OF JAPAN VOL.2』『ふざけるんじゃねえよ』『Brakemode』『夢は牛のお医者さん』『小さき声のカノン – 選択する人々』『雄呂血』『警察官』『お盆の弟』『始まりの風景』『SHARING』『姉と弟 子供とおとな(とそうでないひと)』『終わりのない歌』『色道四十八手 たからぶね』『抱擁』



NIPPON ANIMATIONカテゴリー

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『アップルシード アルファ』『EVERYTHING VISIBLE JAPANESE INSIDE ANIMATED SHORTS (カラスの涙)、(祝典のコラール)、(De_Riria_Subasutaimu)、(デジタル)、(情景)、(リゾーム)、(ランド)、(性的な魚 – 繁殖を忘れた魚達)、(Fragments of Journey)、(Newspaper)、(Dark Mixer)』『新撰組』『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』『眠れ思いの子 空のしとねに』『タクシードライバー祇園太郎 THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』『かぐや姫の物語』『TOKYO UNIVERSITY OF ARTS:ANIMATION (えんえん)、(Will Hatching Day Come?)、(Templex)、(すこやかな歪み)、(Tepid Bath)、(Holy Shit!)、(ズドラーストヴィチェ)、(月夜&オパール)、(白いうなばら)、(粃)、(I’m here)、(Helleborus Niger)、(きつね憑き)、(その家の名前)、(超ラジオ体操)、(かたすみの鱗)』



NIPPON RETROカテゴリー (第15回Nippon Connectionでは相米慎二 監督作品)

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『魚影の群れ』『翔んだカップル』『夏の庭』『風花』『ラブホテル』『お引越し』『ションベン・ライダー』『雪の断章 情熱』『台風クラブ』



以上の4つのカテゴリーで、ショートフィルムなども数えると90以上もの作品が上映されます。人気の上映作品やイベントは、当日券が手に入らないものも多いので、早めにチェックして計画をたてたいもの。

また今年は、「ニッポン名誉賞」も新たに創設され、ニッポン映画界が誇る役者、浅野忠信さんが受賞。Nippon Connectionにも登場し授賞式の他に、独仏バンドStereo Totalとのコラボライブパフォーマンスが行われる予定です。

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3つの上映カテゴリーの他に、NIPPON CULTUREカテゴリーでは映画関係のパネルディスカッション、『100円の恋』の安藤さくらさんや、映画監督に脚本家によるFILM TALKなど、様々な日本の映画人と触れ合うプログラムが目白押し。ここまで、映画人と一般の人が接触を持てる映画祭は貴重かもしれません。

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去年のNippon Connection”Get Together”での堤幸彦監督。

NIPPON CULTUREには映画だけでなく、たくさんの文化プログラムも。過去には、禅のパフォーマンスや、マンガを描くワークショップ、日本舞踊のショーや、ライブペイントまで。

日本のゲームセンターにあるようなゲーム機も導入されたり、たい焼きからお弁当、日本酒までたくさんの屋台が立ち並び、日本のお祭りさながら

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NIPPON KIDSカテゴリーでは、アニメとマンガで学ぶ子供用日本語教室や、子供用アニメーションワークショップに、赤ちゃんの指圧まで。

全ての世代が思いっきり楽しめるイベントが盛りだくさん。その魅力は伝えきれない程。ドイツにいらっしゃる方は、会場で確かめてください。

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さて、今年のNippon Connection のチケットも既に販売開始しています。全日参加で映画の世界にどっぷり浸かりたい方、ちょうどその日はフランクフルトに遊びに来ているという方、早速コチラからどうぞ。

たくさんの上映作品、スケジュールにゲストやイベント内容などは、ウェブサイトからチェックしてください。

また、NIPPON CONNECTION来場者には、ホテルのスペシャルオファーもありますよ。

[Nippon Connection 15]

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