突然ですが、日本に森林がどのくらいあるか、知っていますか?
実は国土面積の2/3が森林で日本は世界でも有数の「森林大国」なのです。しかしながら今、日本の林業は危機に瀕しています。
日本の森林は第二次世界大戦字下の乱伐と荒廃、そして戦後は急増する木造需要に応えるために「造林」がさかんに行われましたが、じきに海外から安い輸入材が急増したことで国産の木材は競争力を失い、林業は衰退していきました。
でも森というものは人間が継続して手入れをしないと、ゆるやかに死んでいきます。しかし、後継者不足や高い流通コストの問題から、日本の林業は衰退、結果として日本の森林は荒れていってしまうのです。
飛騨市は市面積の93%を占める深く豊かな森に育まれ、古くから「飛騨の匠」として伝統の組み木の技術や優れた木材建築で知られていますが、森林に関する同様の悩みを抱えています。
そしてこのたび、クリエイティブな視点で飛騨の森に新しい価値を生み出す企業「株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称ヒダクマ)」が、ロフトワーク、トビムシ、飛騨市の間で、新しい官民共同事業として設立されました。
一風変わった社名には「森林を活用することで、人と自然の関係を健やかにしたい」という想いが込められ、事業を通じて飛騨の森林を健やかにすることで、生態系のバランスを保ち、地域の暮らしも支え、飛騨が目指す明るい未来の象徴として「熊が踊りだすぐらい安心して暮らせる森」のイメージをかかげました。
組み木の伝統技術を、デジタルファブリケーションで進化させる。
美しい由緒ある古民家に、FabCafeを開く。
豊かな広葉樹林を、新しいファイナンスの新しい仕組みを使ってみんなで支える。
それができれば、見捨てられていた森に手が入り、森の生態系が豊かになり、やがて水や農作物や川魚も豊かになるはず、なのだと。
ヒダクマの代表、林千晶さんは、
以前、環境問題に詳しい石田秀輝先生にお話を伺った時に「大切なのは、自然と人間との関わりを改めて考えることであり、その基盤となるテクノロジー創出ではないか」とおっしゃっていました。
テクノロジーは、人間の物質的欲求を満たすためだけではなく、むしろ失われつつある自然との共生のために活用されるというビジョンです。まさに飛騨でやろうとしていることがその取り組みです。
豊かな広葉樹や、大工が培ってきた組み木の技術、自給自足のライフスタイル。それらを単に懐かしむのではなく、テクノロジーを活用して、新しい今の時代に適したライフスタイルとして、ビジネスとしてデザインする。それがヒダクマの挑戦です。
8月には、飛騨古川町にFabCafeがゆるやかにオープンする予定です。
江戸・明治・昭和時代の建築が共存する日本家屋にてお待ちしていますので、どうぞ遊びにきてください。
と語りました。
クリエイティブな新しい視点で、森と人間とが共生・持続するための活動に取り組むヒダクマ。
ヒダクマの活動は、今後の日本で、そして日本で暮らす私達にとっても、とても重要で見逃せないポイントが含まれている気がしてなりません。
北陸新幹線も開通して東京から行きやすくなった飛騨の森に、夏、遊びに行ってみるのも良いかもしれませんね。
いつか、本当に人間とクマが楽しく踊れる未来が来るといいな。