スウェーデンの首都ストックホルムを中心とし、約110キロに伸びるストックホルム地下鉄(Stockholms tunnelbana)は、市民や観光客の交通手段であるのみならず、個性豊かなアート作品が集まる“世界一長い美術館”。
芸術家で活動家のSiri Derkertさんら、150名以上のアーティストが参加し、全100駅のうち90を超えるストックホルム地下鉄の駅で、彫刻やインスタレーション、絵画などが常時展示されています。
代表的なのが、ストックホルム中央駅(T-centralen)の青い洞窟を模した空間。むき出しになった岩盤のデコボコやゴツゴツをそのまま利用し、深い青で装飾された構内は、どこか神秘的な雰囲気です。
一方、ソルナ・セントラム駅(Solna Centrum)は、地球の奥底で沸々とわき上がるマグマのよう。真っ赤な天井がおどろおどろしさすら感じさせます。
天井を空に見立て、七色の虹で彩られた、スタディオン駅(Stadion)。
大きな矢印のオブジェが、出口への案内板を兼ねています。
いくつかの駅を巡った私が特に気に入ったのは、ハロンバーゲン駅(Hallonbergen)。
一般の子どもたちが描いた作品が、壁面やインスタレーションに活かされています。数々のかわいらしいキャラクターもさることながら、ブルーやグリーン、オレンジ、ピンクなど、ポップな色使いが印象に残りました。
無機質で閉鎖的な空間になりがちな地下鉄の駅構内に、前衛的でユニークなアートを取り入れることで、パブリックスペースをより楽しい場に変え、誰もがいつでもアートと身近に触れる機会をつくっているなんて、実に見事ですね。
ルーミーでは、ストックホルム、イケアの故郷であるエルムフルト、マルメなど、スウェーデンの街について紹介していくのでお楽しみに。
Sweden Trip Diary
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Photographed by Yukiko Matsuoka
Illustrated by Mai Kurosaka