触るとたちまち丸まって小さな玉のようになって転がる虫、ダンゴムシ。子供のころ、いちどは触って丸めて遊んだことがあるのではないでしょうか。小さな虫である彼らに果たして「」があるのか考えてみたことはありますか?

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ダンゴムシにも心はあるのか』は「心とは何なのか」という疑問を持ち、「人間以外にも心はあるのか」という研究をしている科学者の森山徹さんの書いた本です。

現代の科学の常識では、「心」は「」に宿ると考えられますが、「心」という言葉を「脳」に完全に置き換えてしまうと、なにか違和感があるのではないでしょうか。それに、脳のない生物には「心」がないのでしょうか。

『ダンゴムシにも心はあるのか?』は、「心」と「脳」を同一視することへの違和感を解きほぐすべく、「心」という言葉が一体なにを指し、なにを表しているのかということを考えるところから出発します。

ひとつの例として、「私があなたに向かって、『心を込めて』贈り物を差し出す場面」が登場します。このとき、私は実は、お腹が空いていて「今日の夕飯はなんだろう」と考えているとします。しかし、贈り物を差し出しているときに、「今日の夕飯はなんだろう」という態度を表すのはおかしいので、私はその行動を抑えています。

このように、意識的に抑えている行動があるということは、「心」がある、と言ってもおかしくないのではないでしょうか。森山さんは、この抑えられている行動や態度のことを「隠れた活動部位」と呼び、この「隠れた活動部位」こそ「心」だと考えます。スライド 1

ダンゴムシには大脳のかわりに「はしご状神経系」と呼ばれる神経があります。

「隠れた活動部位」がダンゴムシにあることを確かめるには、どうすれば良いのでしょうか?簡単には、通常は抑えられている行動は観察することができないはずです。

そこで、森山さんは、「ダンゴムシにとって未知の状況」を作ります。ダンゴムシが通常体験しないような状況を作ることで、一定のダンゴムシは予想外の行動をとるようになるそうです。

例えば、こんな実験があります。

まず、円形の水の堀に囲まれたアリーナに、ダンゴムシを放します。

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ダンゴムシは水に一定時間以上浸かると窒息死してしまうので、通常は水を避けます。しかし、ダンゴムシの特性として、障害物に触れた後に逆の方向に向きをかえる「交代性転向」と呼ばれる性質があるので、この水の堀に囲まれたアリーナでは、危険な水の堀に沿うようにして移動してしまいます。このような状況はダンゴムシにとって、「未知の状況」です。

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こんな状況を続けると、突然、「泳いで堀を渡るダンゴムシ」が一定数登場します。ダンゴムシにとって堀の幅は未知であり、生きて向こう岸にたどり着けるかわからないのにもかかわらず、決死の覚悟で水に飛び込むという「未知の行動」を出現させるそうです。

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まるでダンゴムシが、「ずっと水際にいるのは危険だなぁ」とか、「いっそ泳いだほうが安全な場所にたどり着けるかもしれない」と思ったりして、「泳ごうか、泳ぐまいか」としばらく迷った挙句「じゃあ泳ごう」と決心したかのようにも感じられます。

このような実験をすることで、森山さんは、大脳のないダンゴムシにも「隠れた活動部位」があることを確かめ、ダンゴムシにも「心」がある、と結論づけます。

『ダンゴムシに心はあるのか』には他にも、ダンゴムシと人間が不思議なコミュニケーションをとっているかのような面白く個性的な実験がいくつも紹介されています。小さな虫に心を見出す科学者の世界にぜひ触れてみてください。

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