歴史深い街並みとモダンなカルチャーが調和するオーストリアの国際都市、ウィーン。
世界一住みやすい街(※)とも言われており、いまルーミーが注目する都市のひとつです。(※国際コンサルティング会社Mercer世界生活環境調査より)
オーストリアの国民性やライフスタイルを表す言葉に「Gemütlichkeit(ゲミュートリッヒカイト)」というものがあります。
オーストリアの公用語であるドイツ語で「心地良さ」という意味があり、その「ゲミュートリッヒカイト」がウィーンの住みやすさを知るうえでのキーワードになるようです。
ウィーンの日常を通じて「ゲミュートリッヒカイト」を肌で感じてみたい。そこでルーミーは現地を訪れてみることにしました。
ウィーンの顔とも言える「リング通り」を中心に、自由気ままにお散歩します。訪れたのは4月の初旬。まだ冬の寒さは残っていますが、少し春の兆しも見えつつある季節。2015年はリング通りの開通150周年のメモリアルイヤーで、街は賑わいをみせているみたい。
それでは、さっそく散策スタートです。
AM 8:00 街角のパン屋さんでやさしい朝のスタート
ウィーンの朝はパン屋からスタートと言ってもいいほどに、街は驚くほどにパン屋がたくさんあります。
偶然見つけた小さなパン屋に入ったところ、朝食を買いに地元の人たちが、入れかわり立ちかわりにやってきます。店内では「いつもの」や「今日はこっち」といった会話が聞こえてきました。
豊富なパンの種類に悩んでいたところ、忙しいなかでも丁寧に説明してくれましたよ。
AM 9:00 朝の市場「ナッシュマルクト」で活気を感じる
「ナッシュマルクト(Naschmarkt)」はウィーンの胃袋とも言われるマーケットです。
まっすぐのびる通りに、野菜、色とりどりの香辛料、種類豊富なチーズや肉、レストラン、雑貨店など120店舗以上がびっしり。
地元の料理から世界各地のオーガニックな食材まで幅広く揃っていて、歩いているだけで目を楽しませてくれます。
ちょうど活気が出始めた時間帯で、地元の人々の買い物シーンやカフェを楽しむ姿が見られました。
お互い見ず知らずの人でも、隣りに座ったよしみから、気持ちのいい会話へと発展することも度々のようです。
お土産にもオススメしたいのが「ゲーゲンバウアー(Gegenbauer)」のビネガー。
定番ワインビネガーやバルサミコ酢のほか、ビールや、イチジク、きゅうり、ハチミツなどを原料に作られたものなど、その種類の多さに驚きます。店員さんに声をかければ、味見ができて、どういう料理に合うかアドバイスをもらえますよ。
AM 11:00 「アルト・ウィーン」でコーヒーの香りに包まれる
地元でもおいしいコーヒー豆を買うならここ!と評判のコーヒー焙煎店「アルト・ウィーン(Kafferösterei Alt Wien)」。ナッシュマルクトのすぐ近くに店舗があります。
こちらで焙煎されるコーヒー豆は14種類で、その多くがバイオ&フェアトレード製品です。
扉を開けると、一気にコーヒーの世界へ誘われたかのような芳醇な香りが。それは思わず声が出るほどで、店員さんも笑顔になり、そこから会話がはじまりました。
330年と長い歴史をもつ、ウィーンのカフェ文化について聞いてみました。
−ウィーンにおいて、カフェってどんな存在なのでしょう?
カフェはコーヒーを飲む場というより「人と会う場」としての役割が強いですね。このカフェ文化の発達には、ウィーンの人たちが人と会う時間を楽しんで大切にするという、背景があるのかもしれません。2011年には、ウィーンのカフェハウス文化がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
PM 12:00 MQでアートな刺激を受ける
「ミュージアム・クォーター・ウィーン(MQ)」は、美術館が集まった文化施設。レオポルド美術館、近代美術館mumokルートヴィッヒ財団ウィーンなど、四方八方がアートに囲まれた場所なんです。元は宮廷厩舎があったなんて想像できますか。
中庭広場では誰もが横になれるベンチが置いてあり、友だち同士やカップルがゆったりと寝そべるリラックスした風景がありました。
子供達が遊具のようにのびのびと遊ぶ様子には、思わず癒されました。アートに触れた後に、その余韻にひたるのもいいかもしれませんね。
PM 2:00 リング通りをのんびり気ままに歩く
今年で150周年をむかえ、ウィーンを象徴的する存在である「リング通り」。半世紀ほどかけて綿密な都市計画のもとに作られた、旧市街を環状に取り巻くストリートです。人、自転車、自動車、路面電車、それぞれに専用エリアが設けられ、交通安全が図られています。
5月頃からは街路樹に緑が溢れるので、より一層の心地良さを得られそう。
リング通りには、国会議事堂、ウィーン市庁舎、ホーフブルク王宮/新王宮、美術館、ウィーン国立オペラ座、ブルク劇場、市民公園(Volksgarten)と、見所がたくさんあります。
だけど、あえて通り過ぎるだけにして、自分のリズムで歩きながら景色を眺めるというのも、贅沢な時間の過ごし方ですよね。
リング通りは5.3キロメートルと長いので、歩き疲れたときは路面電車を使うのもオススメ。リング沿いに線路が走り、電車は数分おきに来るので、気軽に乗れてしまうのがうれしい。
PM 3:00 オープンサンドを食べてひと休み
中心街の「グラーベン通り(Graben)」にやってきました。この通りはオープンテラスのカフェやレストランが立ち並び、大勢の人で賑わっています。
小道に入ると「トゥルツェスニエフスキー(TRZEŚNIEWSKI)」というサンドイッチ屋さんを発見。見た目も楽しいオープンサンドをいただきます。
外はいいお天気。路上ライブを聴きながら外で座っていただきました。
PM 4:00 公園でのんびりリラックス
お腹も満足したところで、ふたたびリング通りに向かい「市立公園(Stadtpark)」にやってきました。そこにはずらりとベンチが並び、人々は思い思いに日光浴を楽しんでいます。
にぎやかにおしゃべりを楽しむというより、ゆったりと静かに過ごす人たち。誰かと一緒にいても何かをするでもなく、自然体な風景。日常の穏やかな喜びにあふれていました。
PM 6:00 「シュテファン大聖堂」で賑わいと静寂を楽しむ
ウィーンの街中で一番人が集まっていたシュテファン大聖堂前の広場。ゴシック建築の大聖堂の存在感は圧倒的で、多くの人を惹きつけていました。
聖堂内へ足を運ぶと、賑やかな外とはガラリと一変、そこには静寂な空間が広がっていました。太陽の光がやさしく入り込み、凜とした心地良さに包まれました。
PM 8:00 地元の人が集まるカフェ&バーで乾杯
夏のウィーンは夜も明るい。4月初旬では日没が19時30分頃、5月には20時30分頃と、ゆったりと夜を迎えることができます。
夕暮れどきにドナウ川沿いを歩きました。周辺は新旧の建築物が並び立ち、深い歴史と現代を同時に感じることができます。
日没後は、地元の人で賑わうカフェ&バーへ行き、夜景を楽しみました。
さぁ帰ろう。昼間とは変わって落ち着きのある夜の街は、ゆるやかにやさしく家路へと導いてくれます。
ウィーンは「暮らすように旅をする」のに最適な街
歩いているだけで穏やかな気持ちになれる。何一つ特別なことはしなかったけど、やさしく心地良い一日でした。
「ゲミュートリッヒカイト」は地元の人々から自然と醸し出される表情、そして行動からじんわりと感じ取れるもの。
例えば、子供を抱きかかえたお母さんがベンチにそっと腰掛けたとき。赤ちゃんの顔を見て笑顔になったその瞬間。ナッシュマルクト市場で、隣り合った人たちが日常会話を楽しむ光景。
あくせくせず、ゆっくり日常を楽しむ人々の姿が印象的で、旅人のぼくにも、誰もが大らかでフレンドリーでした。
その背景には、公共スペースの充実度、交通の便といった街づくりもあり、そして、歴史ある建造物や通りがどっしり構えて人々を見守るような、そんな安心感もあります。
今回歩いたルートはほんの一例にすぎません。あえてきっちりプランを決めないで、気のむくままに歩いて景色を眺めたり、偶然の出会いを楽しんだり、隣に座った人と会話してみる。
そんな心の余裕を持つことが、ウィーンの「ゲミュートリッヒカイト」を体感できるカギになるはずです。
成田からウィーンへのゲミュートリッヒカイトな直行便
「オーストリア航空」を使えば、成田から12時間、ノンストップでウィーンに到着できます。空港から中心街までは30分以内でアクセスできるので、着いたその日の夕方からウィーンの街を楽しめるんです。
最新技術が採用された快適なシートや、デザイン性の高いインテリア、映画や音楽のコンテンツが充実した高画質タッチスクリーンも魅力。そして、香り高いコーヒーやワインなど、ウィーンの食文化も味わえます。オーストリア体験は機内から始まるというわけです。
オーストリア航空 ×「くるり」のプライベートライブにご招待
あらゆる音楽からあまねく影響を受け作られるサウンドで、全世代の音楽ファンを魅了するロックバンド「くるり」。2015年6月18日、東京・丸の内コットンクラブで「オーストリア航空 presents くるりプライベートLIVE&TALK」を開催します。
応募方法は、こちらのサイトで氏名などの情報を入力し、自身のTwitterやFacebookにくるりのライブについて思いを投稿するだけ。
くるりの人肌感あるメロディーと言葉から、ゲミュートリッヒカイトを感じられる貴重なチャンスです。ふるってご応募ください。
今回の旅では紹介しきれなかったウィーンの魅力の数々。その続きは、いろんな側面からその魅力や見所をお伝えするオーストリア旅行情報メディア「若くしてウィーンを知る幸福、その30の理由」でチェックしてみてくださいね。
photographed by タイナカジュンペイ