東日本大震災の復興支援のために2011年から開催され、今年で5回目の開催となる「ファインズ チャリティ試飲会」。毎年世界の名だたるワインの生産者を招いて行われるこの会が、2015年3月21日に開催されました。その試飲会の様子をお伝えします。
今回のテーマは「伝統を綴る巨匠たちの共演」。
6ワイナリー9名の生産者が集結し、試飲ワイン100種類以上、そのほか有料試飲、有料セミナーが行われ盛大な試飲会となりました。
会場はブランドごとにブースが分かれており、あちこちで長蛇の列が。
お目当てはもちろん、チャリティの趣旨に賛同した巨匠たちが造りだす、滅多にお目にかかれない希少なワイン。来場者の期待も高まり、みんなホクホク顔。グラス片手に気になるワインをどんどん試飲していきます。
試飲したワインの中から、オススメのものをピックアップしてご紹介します。
こちらは以前どこかで飲んだことのある、美味なワインを発見。
スペインのビオワイン
毎年ラベルの絵が違うというお洒落なワインも見つけました。
生産者の父の友人である画家、故アルフレッド・マンフレディ氏が描いてくれたのだそう。
イタリアのビオワイン
こちらは、どんなお料理にも合いそうな万能ワイン。
ブルゴーニュを代表するグラン クリュ
造り手は気さくに来場客と語らい、記念撮影に応じ、ときにはワインの味わいについて熱弁をふるいます。
特にこのワインを試飲した時。
アンバサダーのファブリス・パパン氏のグラマラスな香りの解説に聞き惚れ、ますますワインをおいしく感じてしまうのです。
ワイン造りの情熱と、ワインを楽しむことを愛する者と、ほろ酔いの熱とが一体となり心地よい空気が漂っています。
こちらはビオ系ワインのカリスマ、アンリ・フレデリック・ロック氏のワイン。
フランスのビオワイン
「江戸前鮨×シャンパーニュのマリアージュ」というテーマのセミナーもありました。
銀座の名店「鮨 からく」とシャンパーニュ アンリオによる特別講義です。
シャンパーニュとは
「フランスのシャンパーニュ地方で伝統的な造り方をした発泡性のワインだけ」をシャンパーニュと呼びます。
同じフランス国内であってもシャンパーニュ地方以外で造られたものは、スパークリングワインと呼ばれています。
まずはトマ・アンリオ氏によるシャンパーニュのお話から始まりました。
アンリオ家の歴史や「一族の名を汚す商品は作らない」という覚悟と、品質への追求が語られます。
そして西山雅己氏とアンリオ氏によるシャンパーニュの解説と、ウィットに富んだ会話を交えて、会は進みます。
アンリオ氏と西山氏の解説を踏まえ、満を持して江戸前鮨が振る舞われます。
江戸前鮨とは、すべてのすしダネに下ごしらえをします。塩をふる、酢漬けや醤油漬けにするなど、ひと手間をかけるのです。
重要なのは“水分を抜く“ということ。
そうすることで保存が効くだけでなく、すしダネが「熟成」します。昨今ブームとなっているキーワードですが、シャンパーニュも江戸前鮨も「熟成」させてさらにおいしくなります。
今回用意されたのは、にぎりは3種類と、それぞれにマリアージュするシャンパーニュ。
組み合わせは次の通り。
写真左「鯛の胡麻醤油漬け×ブリュット スーヴェラン」
鯛を塩で水分を抜き、すりおろした胡麻、お醤油、みりん、酒を合わせて2日程漬ける。
それに合うのは、3~4年熟成させた甘い香りのシャンパーニュ。
目が覚めるような味わいでフレッシュ感があり、飲み疲れしないそう。食前酒向きの一本。中央「平目の昆布締め×ブラン ド ブラン」
平目を昆布で挟み水分を抜き、昆布からうまみやミネラルを吸って熟成する。
これに合うのは、4年熟成のシャルドネの香り豊かなシャンパーニュ。
アンリオのフラッグシップ シャンパーニュでもあり、美しい酸味と複雑観のバランスをもたらす。右「まぐろ赤身漬け×ブリュット ロゼ」
まぐろの赤身をお醤油の塩分で水分を抜き熟成する。
サーモンピンクの美しいロゼを合わせることで、まぐろの甘みが増し、食材の香りが強調される。
解説は、鮨からくの大将・戸川氏とアンリオアンバサダー・情野氏。
造り手のお話には、驚きと感嘆が満ちあふれていました。
特に印象に残ったのは、アンリオアンバサダー情野氏のロゼについての解説です。
「アンリオのロゼが美しいのは、見た目よりも味わいのおいしさにこだわった結果。アンリオの造り手たちは、色に惑わされないよう、目隠しをしてロゼの原酒をブレンドする」
目隠しをしてブレンドするなんて驚きですよね!
滅多に聞くことができない貴重なお話をたっぷり伺うことができました。
背景を知らなくても、おいしいものはおいしい。けれどそのおいしさの秘密に触れた時、感動が生まれ味わい深いものとなります。
江戸前鮨もシャンパーニュも「熟成」させておいしさを引き出します。そして、熟成したものを掛け合わせると、さらなるおいしさが広がっていきます。
「生ハムやチーズ」と「ワイン」など、熟成した物を組み合わせる食べ方は、すぐに真似できそうです。
ぜひ試してみてくださいね。
以前ルーミーでご紹介したワインのコルクがインテリアへと生まれ変わる「TOKYO CORK PROJECT」も、チャリティ試飲会の趣旨に賛同しています。
会場にはコルク回収箱が設置され、素敵なナンバータグやお土産のコースターも準備されていました。
ナンバータグ
コースター
コルク回収BOX
試飲会を通して、ものづくりには情熱とエネルギーがあり、その結果誕生したワインが、人を惹きつけ感動や喜びを生んでいるのだな、と実感しました。
次回の試飲会は来年となりますが、ご紹介したワインの一部は東京・虎ノ門のワイン専門店「カーヴドリラックス」でも購入できます。インターネットからの注文も可能です。
ぜひみなさんも、伝統を綴る巨匠たちのワインを味わってみてくださいね。
※このチャリティ試飲会の入場料、有料セミナー、有料試飲、ブラインド試飲セット代などの収益は、東日本大震災の復興支援に活用するため、公益社団法人Civic Forceへ全額寄付されます。