想像してみてください。
もし、あるマンションの部屋を好きにコーディネートしていいと言われたら。あなたはどんな部屋にしてみたいですか?
SFに出てきそうな近未来の部屋、植物だらけのジャングルみたいな部屋、またはDJブースのある完全防音の部屋、その他にも…。
三井不動産レジデンシャルから解体予定のモデルルーム一部屋を、自由にコーディネートして欲しいとお話がきました。
ルーミーらしく、自由に改造しちゃってください。
と、三井の担当者さん。
与えられた条件はひとつ。ただかっこいいモデルルームではなく、暮らす人の趣味やこだわりを体感できる「ちょっと変わったモデルルーム」にしたいんだとか…。
そこでルーミーが提案したのが、「マンションの中でもDIYができる部屋」というもの。
ホワッツ?
DIYといっても、木工機材を使うような大がかりなものではなく、もっと気軽にできるものです。想定した人物像は、『高級なデザイン家具より、自分たちで作った家具や、小物に囲まれて暮らしたいと願う20〜30代の夫婦』。そんな人たちが暮らしたくなる部屋を作ることにしました。
マンション暮らしと、DIYは共存できる。
こんなテーマをかかげながら、実際のモデルルームを使って行われた「ルーミーのお部屋改造計画」。はたして、無事に完成したのか…?
改造前のお部屋はどんな感じ?
舞台となったのは、山手線・大崎駅のそばにあるモデルルーム。間取りは2LDK、71m²のファミリータイプです。
赤く囲った部分が、今回自由に使えるリビング部分。実は、他の部屋はルーミーの兄弟メディア「ギズモード・ジャパン」と「マイロハス」が担当しました。そちらの様子は、各メディアでチェックしてみてください。
話は戻って、現在のリビングはこんな感じです。
間仕切りで2部屋に区切れる間取り。子供がいる家庭向けのようですね。とりあえず、ここにある家具を外に運び出して、何もない状態にしてみました。
スッキリはしましたが…。さて、どうしましょう?
テーマにあった「DIY家具」を発見
部屋のテーマは、DIY好きの夫婦が住んでいる部屋。自分たちの家具は自分たちで作る。そんな夫婦を設定しましたよね。
そこで思い浮かんだのが、ルーミーでも何度かご紹介している「MakeT(マケット)」の家具です。
建築家・谷尻誠さんが立ち上げたプロジェクトMakeTは、もともと谷尻さんが自分の家用にデザインしたDIY家具を、誰でも気軽に楽しめるようにしたもの。
自分で手をかけたからこそ、愛着が生まれ、発見があり、そして何より美しい。(公式サイトより)
DIYの楽しさと、デザイン性の両面をあわせ持ったMaKeT。必要な素材一式が販売されていて、材料はすでにカットされているので、あとは図面を見ながらネジを打ち込むだけ。だからこそ、マンションの中でもDIYができるというわけです。
今回は、MaKeTのスタッフにも協力していただき、リビングをMaKeTの家具で構成することにしました。
打合わせを重ねた結果、奥のスペースを「夫婦の創作スペース」にして、手前を「手作り家具で構成されたリビング」にすることに決定です。
みんなで、レッツお部屋作り!
2月某日。いよいよお部屋作りのスタートです。いくつかの家具は前日までに組み立てていたのですが、時間の都合上、メインのシェルフは当日作ることになりました。
DIY初心者でもカンタンに作れるMaKeTの家具。図面を見ながら寸法をはかり、線を引き、電動ドリルを使って木ネジを打ち込んでいきます。
ハンマーやノコギリを使う必要がないので、マンションの中でも大きな音をたてずに家具作りができるんです。
こんなところに自転車が…? 実は、この自転車もインテリアのアクセントとして部屋に飾る予定。
シェルフを作る隣では、「夫婦の創作スペース」を制作中です。なにやら壁に木材を並べていますが…。イメージは、山小屋のようなウッディな創作スペースです。
当初は、こちら側にもシェルフを置くつもりだったのですが、壁に並べた木に直接棚を取り付けることに。このほうがスペースが広く、スッキリとした印象です。
床にも木材を並べ、棚に工具をディスプレイすれば、本物の工房のようなスペースが姿を見せ始めました。
一日がかりで行われた「ルーミーのお部屋改造計画」。編集部一同、普段はパソコンの前で仕事をすることが多く、自分の手を動かす「リアルなモノ作り」はやっぱり楽しそう。
当日の様子は、こちらのスライドショーでもお楽しみいただけます。
自転車を立てかけているのは、マケット特製の自転車ラック。リビングのいいアクセントです。
あとは、部屋の照明をセットして、小物を配置すれば、ようやく部屋の完成です。
DIY夫婦のための部屋が完成!
それでは、まずはリビングからご紹介です。
テーブル以外、すべての家具が手作り! 木のそのままの色がリラックス空間を演出しています。シェルフには想定した夫婦のキャラクターをイメージしながら小物や本を選びました。
架空の人物の本棚を担当した文学青年の秋山編集員。どんなイメージで本を選んだのでしょうか?
ピカソやシャガールの画集、レオ・レオ二の絵本を選びました。モノ作りが好きな夫婦ということで、きっとそういう作家の本を読んで、創作のインスピレーションを得ているんだと思います。
壁のポスターもピカソの絵にして、インテリアを統一しています。
そして、隣には「夫婦の創作スペース」が用意されています。
リビングの癒し空間とは対照的に、渋くて雰囲気ある空間。家具は茶色に塗装しています。
こんなスペースが家にあったら確実にテンションが上がります。ついさっきまでここで作業していたかのようなリアルさです。
自分たちが使う家具は、自分たちで作る。それを可能にする最高の部屋に仕上がりました。
マンションにもっと自由なアイデアを
家でDIYを楽しむためには、一軒家に住まないといけない。そんな常識がすでに古い時代になってきています。
部屋を提供してくれた三井不動産レジデンシャルも、どんどん多様化していく人々の価値観を受け入れる「ライフスタイル優先」のマンションづくりを目指しているといいます。
テクノロジーが急速に発達し、すごいスピードで変化していく今の時代。働き方だって、子育てだって、いままでと同じではありません。そう考えれば、生活の基盤となる「住まい」だって大きく変化していくのは当然のこと。
もう一度、想像してみてください。
もし、マンションの部屋を自由に作ることができるなら、あなたはどんな部屋にしてみたいですか?
その答えが「未来のマンション」のスタンダードになっているかもしれませんよ。
Book select: Yu Akiyama
Record select: Kenta Terunuma
photographed by: Kenta Terunuma