身近な生活の中に植物があると、なんだか生き生きとした気分になりますね。

実際の植物の手入れは大変ですが、枯れないこの植物ならば、置くだけで手軽に生命力をもらえます。

20150212_paul_3

球体のガラスの中に、植物や昆虫が閉じ込められ、美しい世界を織りなしています。

ガラスの中に、生物をそのまま入れているかのように見えますが…、なんと、すべてガラスで作られています。植物や昆虫も全てガラス製です。美しく透き通るこのオブジェは、ポール・スタンカードさんのアートガラス「オーブ」シリーズです。

ボールさんは、ディスレクシア(学習障害の一種)の傾向があり、学校の成績はよくありませんでした。高校卒業後、ニュージャージー州セーラムの職業学校へ進み、科学器具に使うガラスを作る技術を身につけます。やがて生業としてガラス製作から、自分のクリエイティビティの表現の一手段へと移行してゆきます。

ポールさんは自分の仕事についてこう語っています。

「私はレポーターのようなものです。自然(ネイチャー)に応答して、それをガラスの中に表現するんです。(中略)

私のワークは参照的です。細かい部分をガラスに取り込むプロセスが好きです。その細かさによって信憑性が育まれるのだと思います。人々から「一体どうやって花をガラスの中に入れたの? あんな花見たことないんだけど」と言われます。

その「花」は私が考えた花の可能性を表現したものなんです。

Beauty Beyond Nature」より翻訳

ルーヴル美術館で展示されたことも

ガラス一筋に50余年のポール・スタンカードさんは、ガラス工芸をアートへと引き上げたアーティストとして世界中の美術館やコレクターから高い評価を受けています。作品はメトロポリタン美術館やルーブル美術館を始め、日本でも北海道立近代美術館で展示されました。

ニュージャージー州マンチュアにあるスタジオで、年に制作するのは25点から30点ほど。1点を完成させるのには200時間から1000時間もの長い時間を費やします。完成品の値段は6千ドルから4万ドルほど(70万円〜470万円)になります。

透明なガラス球体(オーブ)の中に、彼が解釈した自然が凝縮されているのが「オーブ」シリーズ。浮遊感のある球体の植物は、ずっと眺めていたくなる美しさです。

20150212_paul_4

©Ron Farina

「Flowers and Fuzzy Fruit Series」は、直径4インチ(10センチ)。手で触れたくなるような植物の質感で、赤や黄緑の色合いが元気な気分にさせてくれます。

20150212_paul_2

©Ron Farina

「Flowers and Fruit Bouquet with Swarming Honeybees」は直径6インチ(15センチ)。オレンジや赤をベースに作られたこちらは、ミツバチが鎮座しています。シックな色味なので、性別年代を問わずに好まれそうな作品です。

コレクターが出版した美術本も

なかなか実物を鑑賞するのは難しいですが…。ワシントン州タコマにあるガラス美術館の理事を務めるロバート・M・ミンコフ氏が、自らのコレクションを掲載した美術書には、ポールスタンカードさんの作品が65点掲載されています。この本ならば、たくさんの作品を目にすることができます。

吸い込まれるような魅力を持った球体のオブジェ。時間を止めた美しさにうっとりとしてしまいますね。

360度どこから見ても美しい。球体に閉じ込められた自然のひとかけら [cafeglobe]

text by ナガソクミコ

この記事を気にいったらいいね!しよう

ROOMIE(ルーミー)の最新情報をお届けします。

あわせて読みたい

powered by cxense