○次に流行るのは「電子工作ガール」?

雑誌発なのかテレビ発なのかは分かりませんが、ここ数年は「○○ガール」というカテゴリーがいくつも登場しては消えています。「森ガール」「山ガール」のようなファッションやライフスタイルを示すものもあれば、「リケジョ(理系学生や理系出身の女子)」「ドボジョ(土木系オフィスに勤める女子)」のように仕事につながるようなものもありますね。

次々現れるのも「○○ガール」の特徴ですが、今コミック界で注目されている「○○ガール」をあげろといわれれば「電子工作ガール」ということになるでしょう。

電子工作といえば、小学生男子が夢中になる印象です。私も小学生の頃、自作ラジオキットを作ったことがあります(ソニーがそんな商品を出していた時代もあった!)。自分で基板に抵抗等をはめこみ、はんだごてをあてたときのあの匂いは今でも懐かしく思い出します。

このコミックの主人公である女子大生は、文字通り「電子工作女子」として趣味の電子工作に励んでいるのです。

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○コスメや服の代わりに引き出しにつまっているのは電子工作パーツ!

主人公の女の子は、リケジョというわけではなく、たんに「電子工作が好きな女の子」です。引き出しにはコスメではなく、電子部品のストックパーツが詰め込まれており、机の上にはぬいぐるみではなく、はんだごてと基板が置かれています。

はんだづけが好きだったり、アキバの電子部品ショップめぐりが好きだったりする女子というのはなかなかお目にかかれません。当然ながらクラスでカミングアウトもできず(カミングアウトしてもクラスメイトには理解不能)、友達もなかなかできない日々が続きます。

本人は楽しく電子工作をしている日々で、ぼっち状態も気にしていないのですが親は落ち着かない日々。そんな主人公の電子工作ライフが描かれていくのが、このコミック『ハルロック』です。

このコミックのおかしいところは、彼女の電子工作の「好き」は何か特殊な能力が花開いていくわけではなく、下手の横好きレベルのままであること。

作るのも、台所を「黒いアレ」が通り過ぎたら音がするセンサー(確保はできない)とか、人生の残り日数がカウントダウンされるタイマー(といっても仮置きした寿命から固定的に逆算しているだけ)といった微妙なアイテムばかりです。

でも、それが妙にほほえましい。



○好きなことに夢中になる人は、はたからみるととちょっと変わって見える

微妙な電子工作アイテムばかりとはいえ、本人はイメージを形にするプロセスを楽しんでいます。どこにもないものが形になる喜びに夢中になっている姿に読者は思わず引き込まれ、つい笑顔に。

好きなことを好きといえることはとてもすばらしいことですが、夢中になればなるほど、その姿がほほえましさを増していくのがこのコミックのすばらしさです。

主人公の女性は秋葉原のパーツ屋さんで電子工作好きの小学生と出会って師弟関係になってしまい、工作のつどまじめに相談していたりします。また、田舎に帰って肝試しを手伝ってくれと頼まれれば、心拍数に連動するおばけやしきを電子工作して小学生をパニックに陥らせてしまいます。そんな一つひとつのエピソードから、ちょっとしたおかしみが感じられるんです。

でも、夢中になることってもともとそういうことなのじゃないかな、と思います。鉄道好きも、アニメ好きも、興味がない人にとってはちょっと変わった存在です。私はまちあるき好きの歴史好きですが、これも熱く語り始めるとたいていの人は引いています(例えば「江戸好きじゃなくて、大正~昭和初期の東京が好きなんです」と言ったら、普通の人は面食らうでしょう。何の違いがあるんだと)。

たぶん、あなたの趣味も、それを受け入れない人からすれば理解しにくいことなのかもしれません。でも、それでいいのです。



○今は電子工作向きの時代なのかも

簡単なセンサーのキットを作って遊ぶくらいが電子工作のイメージだと思ったら大間違い。そこにとどまらないことも『ハルロック』のおもしろさのひとつです。

今ではRaspberryPieというキットを使えばほとんどパソコンレベルの処理を手のひらサイズで電子工作できたりする時代になっているのですが、そうした新しい素材がひょこひょこ登場して電子工作のおもしろさを伝えてくれます。

すでに高度な既製品が多く出回っている現代に電子工作なんて意味がないもののように思えます。しかし、今の時代からこそ、電子工作がおもしろいのかもしれません。

のほほんとした絵柄も、コミックの内容にマッチしていて楽しく読めます。

電子工作のことはあまり分からなくても十分楽しめるのもこのコミックのおもしろいところ。まだコミック2冊で追いつけます。『ハルロック』、オススメです。

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