九段下をおりるとき、遠くにぐっと見えるスカイツリーの眺めがお気に入りのFP山崎(@yam_syun)です。今回取り上げるのはスカイツリーが開業してからさらに数十年後の未来、業平橋(なりひらばし)にある電気屋さんのお話です。

■近い未来、日本はあまり変わらずのんびりしている?

近未来もの、といえば「攻殻機動隊」のようにサイバーな世界観を提示する物語のほうが人気だと思います。攻殻機動隊の技術に、現実が近づいてくるとわくわくしたりします。

最近再放送されたアニメ「電脳コイル」などはVRが現実になった近未来を取り上げながらも、学校での噂話や怪談話は残っていたり、駄菓子を買うかのようにVR世界のツールを購入していたり、近未来でも子どもらしい営みは変わっていない雰囲気をよく作り上げている佳品です。

今回ご紹介する近未来もののコミック「なりひらばし電気商店」は、ゆったりした世界の中にあるようです。

■技術は進展し、のんびりした社会の居心地はどうか

「なりひらばし電気商店」の世界は現在の延長でありながら、技術の進展によりむしろ都会は人口が減っており、3R法なるリサイクル推進法が社会を支配している設定です。ユニークな未来像を描いているのはこの3R法で、鮮度の下がった食品を廃棄していると逮捕されたり(エコじゃないので)、紙のちらしを配っていると捕まったりします(エコじゃないから)。

確かに、リサイクルは重要ですが、穏やかに衰微しているような日本の未来が、エコにうるさい社会というのはなかなかユニークです。

主人公はあえて都内の大学に入学し、電気屋さんの親戚の家に住むことになります。場所はスカイツリーのすぐ近くにある業平橋商店街。しかし、私たちとは異なり、今の東京タワーのような感覚でスカイツリーを見上げている世界なのがまた新鮮に見えます。

■近未来ものほど、作者のセンスが試される

近未来ものの映画の定番といえば「ブレードランナー」ですが、液晶ではなくブラウン管のモニターで、マウスという概念もないので音声認識を使って画面をポインティングしているシーンがあります。実際の2010年代と違う未来が描かれたわけですが、「近未来」の雰囲気は存分に伝わってきます。近未来でも土砂降りの雨は降りますし、軽食のうどんスタンドもあります。そのミックス具合が「今と未来」をつないだ近未来の雰囲気を作り出します。

実際、液晶モニターがこれだけ時代の主力となるか、2000年頃まで誰も予見することができない未来でした。今や当たり前のものとなったタッチパネル技術も、2000年頃までは使い勝手のいまいちであるガジェットの類いでした。しかし、液晶パネルとタッチパネル技術は現代に欠かせない技術となっています。

「攻殻機動隊」は、まともなインターネットがまだ機能していなかった1990年代前半頃に描かれたと思って読み直してみると、その凄さが分かります。「ネットは広大だ」という台詞、すごいですよね。

10年後あるいは20年後の世界を想像で描くことはとても大変ですが、夢のある取り組みです。創作の世界であるからこそ、近未来が描けるのかなと思います。そして、どんな世界でも、真ん中にあるのは人間なのだと思います。

「なりひらばし電気商店」から少し話題が逸れてしまいましたが、あまりネタバレしたくなかったので、世界観を中心にレビューさせてもらいました。主人公と友人たちの人間模様もほんわかとしつつ徐々に深まっていき、続刊が楽しみです。

「なりひらばし電気商店」は近未来マンガとして、手に取ってみたい一冊です。たぶん、他の近未来マンガと異なる世界を楽しめると思いますよ。

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