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ニューヨークのメトロポリタン美術館の別館、クロイスター美術館では中世の美術作品が展示されています。

クロイスターの75周年記念に、ここで一番有名なユニコーンのタペストリーにちなんだ展示「Search for the unicorn(ユニコーンを探して)」が5月よりオープンしています。



ユニコーンは中世画の中で多く描かれるモチーフですが、実は、その意味や理由が謎とされているのです。「ユニコーンはキリストを表している」とか「実際にこの時代には一角の動物が存在した」とか「神に関わる神聖な生き物だ」など諸説はいろいろ。

未だにその謎に魅了され、人気が高いユニコーン。その魅惑に人々が惑わされたユニコーンのタペストリーに関する話が雑誌『The New Yorker』で掲載されていたのでご紹介します。

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1500年頃に作成されたとされるタペストリーをロックフェラージュニアが購入し、1937年にクロイスター美術館へ寄付されました。それから20年ほどが経ち、作られたときから一度も掃除されていないと言われていたので、500年ぶりにキレイにすることに。

タペストリーの裏側は、保護のためと壁にかけやすいようにと、シルクの布が張ってあります。それもかなりダメージを受けていたので、新しいものに張り替えようということになりました。そして、ていねいに剥がしてみたら、信じられないほどきれいな色を保った、完全鏡写しのユニコーンの姿がでてきたのです。

当時の織物の手法でかなりていねいに裏側までしっかり糸が通っており、表以上に当時の色を鮮明に留めていたそうです。裏に映し出されたユニコーンの血はまるで「愛の苦しみ/痛み」を鮮明に表すものかのように深い赤だったそう。美術館員がみな感嘆の声を上げて、美術館のディレクターに報告しました。

また布をはって閉じてしまう前に、最高画質で写真に収めておくように指示が出て、メトロポリタンづけのカメラマン二人がピースごとに分けて2週間かけて撮影。

後でそのピースをフォトショップでパズルのように合わせれば、最高の解像度で作品のイメージを保存することができる、というのがプランでした。

ところが、どうやってもパズルが合わないのです。解像度を下げてもまだ合わない。諦めて、イメージを保存した大量のデータだけが残ってしまいました。

数ヶ月たってから、数学者のChudnovsky兄弟のもとにそのデータが送られました。スーパーコンピューターを作り、いろいろなものを解析/分析するChudnovsky兄弟に、データを解析して一枚の写真に完成してもらおうと、新たなプロジェクトが始まりました。

そして彼らは計算しつくし、最終的にはきれいにパズルを合わせることに成功したのです。その解析にかかった日数はなんと3ヶ月。

タペストリーは糸が編まれたものなので、吊るされていた状態から、床に置かれることで、その編み目がまるで生きているように伸びたり縮んだりと変化します。そのせいで数字のズレが生まれたのです。Chudnovsky兄弟の手によって、見事一枚の画像に収められました。

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多くの人を巻き込み、そして惑わせた一枚のタペストリー。残念ながら復元された画像は公開されていませんが、このストーリーでさらにユニコーンへの興味がかきたてられました。

ご興味がある方は、ぜひ「Search for the unicorn(ユニコーンを探して)」を訪れて、ユニコーンの世界を体感してみてください。

Search for the Unicorn [Metropolitan Museum of Art]

Capturing the Unicorn [The New Yorker]

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