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スタバタリーズで珈琲を飲むのは、仕事をするとほぼ同義である、哀しきノマドワーカーFP山崎(@yam_syun)です。

さて、roomieのコミックレビューのコンセプトは「『ちはやふる』がヒットする前に、まだ1~2巻のときにレビューする」です。現状ではマイナーだけど、こいつはスゴイ! こいつは化けるかも! というコミックを個人的思い入れたっぷりにピックアップしていきたいと思います。

さて、今回は『ちろり』という、まだほとんどの人が読んでいないであろう1冊をご紹介します。もし、あなたの最寄りの本屋のコミック売り場が幅2メートル以下であれば、まず入荷していないと思いますので、書店で注文するか、Amazonで買ってください。それくらいのマイナー作品です。

しかしマイナー作品ならではの「スゴイぜ!」があります。それは、「着物を来た女中さんへの妙なこだわり」です!


■主人公の着替えシーン(着物)に13ページを使う!

『ちろり』の舞台は明治時代の初期、文明開化のなった横浜です。当時にはまだ珍しい、珈琲を出す喫茶店を経営する若い女主人(マダム)と、住み込みで給仕をしている女の子、ちろりの2人が主人公として登場します。

しかし、そうした背景が分かってくるのは1巻のなかほどになってから。細かい説明はほとんどされないからです。その代わりに第1話のほとんどのページを占めるのはなんと「ちろりの着替えシーン」なのです!

西洋風のメード衣装ではなく、矢がすり模様の着物に着替えるのですが、目を覚ましたちろりが、寝間着から肌じゅばんに移り、着物に着替え終わるまでのページ数、なんと13ページ! 着物の着付けテキストかと勘違いしそうな衝撃のオープニングに、作者のなみなみならぬ執念(観察眼か、はたまたこだわりか)を感じます。しかし、それは「萌え」ではなく、日常の活写、という感じで描かれているのです。



■着物の女性の、首周りがよく描かれている

最近、日本では着物を着る機会がめっきり少なくなりました。私も夏に浴衣を何度か着るくらいですし、それすら「浴衣のほうがTシャツ姿より暑いよ」!」とか思いながら着ています。なかなか風情はありません。それでも夏は女性の浴衣を見る機会が増えて、いい季節です(余談ですが、夏のJR浜松町駅は18時前後に浴衣女子が改札周りに溢れています。東京湾納涼船が浴衣割引を実施しているためらしいのですが、いいことです)。

さて、浴衣の良さ、というか和服の良さは、首筋から背中にかけて、うなじのあたりがよく見えるところです。髪もアップにすることが多いので、なおさら、うなじのラインがきれいに出ます。男性の着物と違い、女性の着物は後ろの襟が離れるのですが、これを衣紋をぬく、というそうです。あまり意識していなかったのですが、確かに背中が少しだけ見えるような感じが着物の良さといわれるとうなずけますね。

『ちろり』においてもそうした着物の女性の様子がよく描かれており、うなじのラインと襟の角度がいい案配にはまっていて、つい、ため息が出そうです。


■開港時代の横浜の風情が色を添える

時代は明治初期で、外国人居留地(関内)と関外がまだ文化的にも区別されていた頃合いです。慣れない洋装の日本人と着物姿のおっちゃんが同居していたり、ビスケットを初めて作った感動が描かれたり、外国人女性が店にやってきたりと、開港時代の横浜の「洋」の雰囲気がエピソードとして語られ、楽しいコミックとなっています。





一方で、年始に「若水汲み」に出掛けるエピソードや、夏の薄物の着物をあつらえた話など、「和」の要素も多く、楽しみどころが満載です。まだ2巻が発売されたばかりの『ちろり』。読んでみてはいかがでしょうか?



■おまけ:横浜で喫茶店といえば

喫茶店ものマンガといえば『ヨコハマ買い出し紀行』を思い出します。あまりお店がはやっていない感じも似ていますが、こちらは近未来のSFです。SFといいつつ、穏やかで文化レベルも今とあまり変わらない(むしろ、やや田舎暮らしの感がある)ながら、主人公は人型のアンドロイドだったりします。

最近、愛蔵版が出て復刊されていますので、興味のある方はぜひ。

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