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Photo by 北澤壮太

落語に対して「興味はあるけど、何から聴いていいかわからない……」と、いまだ躊躇している人って、実はけっこう多いのでは? そこで今回は落語作品を多く扱うことでも知られるCDショップ・山野楽器のMD(マーチャンダイジング)を担当されている小原志野さんに「どの落語家さんが演じた、どの噺が初心者におすすめなのか?」を聞いてみました。

とはいっても落語は江戸時代から続く伝統芸能で、落語家さんの数も多ければ、噺の数も膨大! 小原さんには「日本の夏が感じられる作品」をテーマに、おすすめの噺を数タイトル、選んでもらいました。

小原さんがまず挙げてくれたのは、春風亭一之輔さん(TOP写真)が語る「青菜」

主人公は植木屋さん。この彼が初夏のとある日、自分が出入りするお宅のご隠居さんとその奥さんとの何とも粋なやりとりに憧れて、友人相手に同じやりとりをマネてみる――というストーリーです。小原さんによると、この噺には江戸の人たちが夏に実際、楽しんでいた食べ物などの名前がたくさん登場します。「鯉の洗い(=刺身)や、柳蔭(やなぎかげ:江戸時代、夏の暑気払いに飲まれたお酒。井戸で冷やして楽しまれた)といった、夏を感じさせてくれるキーワードが多く出る作品です」と小原さん。主人公とご隠居さんとの会話や噺家の仕草から、四季を味わいながら暮らしていた、当時の人々の何とも風流な気分を感じることもできます。なお、この「青菜」は次代の名人として期待される、春風亭一之輔さんの十八番ともいわれる噺です。

小原さんがもうひとつ、挙げてくれたのが柳亭市馬さんによる「お化け長屋」

舞台はとある長屋。この長屋に、住民のみんなが物置として使っている1軒の空き家があります。便利な物置スペースなので、住民たちはこの空き家に借り手がついてほしくない。そこでこの家を借りたいと来る人たちを、「実はこの家にはお化けが出るんです……」と脅して、追い払おうとしますが、さて……?

「この『お化け長屋』はお化けというキーワードから、寄席では夏に演じられることがとても多い作品です。『お化け』の噺ではありますが、噺自体は明るく、楽しく笑えるものなので、初心者の方にも聴きやすいと思いますよ」(小原さん)

なお、ここで挙げていただいた柳亭市馬さんは、小原さんが今一推しの落語家さん。語り口の調子がとてもよく、聴いていると、それだけで何とも心地よい気分になるのだとか。

また、「桃月庵白酒さんによる『鰻の幇間』もおすすめです」と小原さん。

「この噺は、夏のスタミナ食としても知られる鰻がキーワードの作品。噺の設定が夏の盛りのお昼どきなので、江戸の夏と、そこに暮らす人々の営みなどがよく伝わると思います。いろいろな方が演じていますが、落語に現代的なウイットを持ちこんだ、桃月庵白酒さんのバージョンをぜひお聴きいただきたいです」(小原さん)

ほかにも夏を感じられる作品として、小原さんからは船徳」、「千両みかん」、「佃祭なども挙げていただきました。

落語は「日本文化最大最高の遺産」という方もいます。そんな最高の文化に、触れずにいるのはもったいない! 落語をまだ、聞いたことがないという人は、まずはこの夏、ここでご紹介したCDを足がかりに、粋で魅惑的な、落語の世界に足を踏み入れてみてはいかが?

今回ご紹介した作品は、以下のCDにて聞くことができます。CDは山野楽器のショッピングサイトでも、購入が可能です。

・春風亭一之輔 『初天神/青菜』
・柳亭市馬 『お化け長屋/松曳き/七段目』
・桃月庵白酒 『火焔太鼓/鰻の幇間』

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