二度寝から目覚めて、時刻は完璧に遅刻確定で、昨夜酔っ払って帰宅して脱ぎ散らかしたままの服やカバンが散乱する室内にぼんやり立ち尽くしているようなとき、切実に思うんです――「あぁ、執事が欲しいなぁ」って……。
理想の執事は、カズオ・イシグロの小説『日の名残り』に出てくる生粋の英国執事スティーブンス(映画版ではアンソニー・ホプキンス)か、『バットマン』でバットモービルのメンテもできちゃうスーパー執事のアルフレッドでしょうか。
重要なのは「賢く上品で何でも仕事ができるハイパー技能者なのに、ちょっとどっか抜けているチャーミングなところもある」というところ。『火の鳥』「復活編」の召使ロボ・ロビタも、そんな感じでしたね。
手塚治虫の描いた未来が近づいているのかはわかりませんが、将来的にはロボットたちが人間の手助けをする風景が当たり前のものになるのかもしれません。
ロボ・ヘルパーさんやロボ執事が身の回りの世話をしてくれるような、そんな未来がきた時には、おそらく家の中のデザインも少し変わっているでしょう。ロボが家事をしやすいように最適化されているにちがいありません。
そんなコンセプトで未来のいえなかを予想したのが、デザイナーのDiego Trujillo-Pisantyさんによるプロジェクト「With Robots」。
家具のはしっこになにやらバーコードのようなものがついてますね。きっとこのバーコードを読み取ってロボ執事は家具を判別するのでしょう。お皿やマグの持ち手は不思議な形に切り抜かれたり、飛び出したりしています。ロボ執事の手でも持ちやすいようにデザインされてるんですね。
「牛肉/一口大に切る」というレシピをロボ・コックさんが実行すると、こうなります。四角四面とはまさにこのこと。
仕事ぶりは完璧なのにちょっと抜けてる愛され系ロボ執事さんと一緒に暮らせる未来は、そんなに遠くない気がしてきました。
このプロジェクトについての詳細はDiego Trujillo-Pisantyさんのサイトでどうぞ。見慣れた日常のスキマにふと未来が入り込んでくる、SF的な快感を覚えますよ。