
セチョヴリェ・サリナという自然公園内に広がるその塩田は、750ヘクタールもの大きさを誇ります。ここで採れる天然の塩には、原発問題でも取沙汰された天然の“ヨード”が、たっぷり含まれていることでも注目を集めているんです。
ヨーロッパでは、大量生産品される塩に、ヨードを添加物として入れることが一般的。これは、日本のように海に囲まれた土地ではなく、ヨードが多く含まれるという海苔や、昆布、ひじきなどの海産物を食べる習慣がないことから、カラダで甲状腺ホルモンを作る際に必要不可欠なヨードが足りず、欠乏症になるケースが耐えないためだそう。
でも日本人だって毎日、海苔や昆布を食べているわけではないですよね。今後は、積極的にヨードを摂りいれていくためにも、毎日の料理で使う塩を、天然ヨードを含んだスロベニアの塩にして変えてみるのもいいかもしれませんね。
さて、その大注目のスロベニアの塩が採れる塩田は、スロベニアの重要文化遺産でもあります。果てしなく広がる浅瀬のような塩田の上澄み2cmの水深の下には、堆積物が27mもあるそう。このミネラル豊富な堆積物が絶好の塩床となり、アドリア海から流れ込んで来た海水は濾過、熟成されて約30〜40ヶ月後に塩となります。
もしこのなかに指一本でも入れたら、その後5年間は塩が取れないというほど、自然の力がすべての製造工程。ちなみにここの塩田で買う塩にはすべて、「塩は空にかえれなかった海」と書かれたラベルがついています。
空にかえれなかった海、を実感するのは塩の花とも呼ばれている結晶塩。塩の花は夏の暑い時期に、太陽の熱と風によって水面にできたデリケートな結晶で、風が強すぎたり雨が降ると消えてしまいます。まさに手塩にかけて採取された塩の花は、海のうまみと栄養素が凝縮された塩なんですね。
このスロベニアの塩の花は、日本でも購入が可能です。健康志向のロハス・ピープルはぜひチェックしてみてくださいね!
[スロベニアの塩,取材協力:スロベニア政府観光局]
text by 松田朝子
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旅行作家・トラベルジャーナリスト。日本旅行作家協会所属。旅と女性のよりよい関係を追求することから、国内外のアンチエイジング、ビューティーなどを研究。女性旅行作家たちのサイト「女性の旅研究会」管理人。著作「旅先だとどうして彼は不機嫌になるの」(自由国民社刊)