知っているようで、実はホントのところを何も知らない日本茶。知って得する日本茶の選び方や美容法、聞いてびっくりのトリビアについて、日本で唯一の“日本茶アーティスト”の茂木雅世さんがレクチャーしてくれました。
●周りの人にも教えたい「日本茶トリビア」
一般的に低温のお茶は玉露などの高級茶葉で、手間暇かけて入れるもの。低温のお茶=あなたは大切なお客様、ということを表します。またお茶の上澄みに産毛のようなものが浮いているのも、高級茶葉の証拠。これは毛茸(もうじ)といって、高級なお茶の原料となる柔らかい新芽の裏にしか生えていないものなんです。
【茶殻は捨てないで! 料理に使えます】
お茶を飲んだらゴミ箱行きの茶殻。でもお茶の栄養成分の約7割はお湯に溶けず茶葉に残るので、茶殻を捨てるのはもったいない! 残った茶殻の水気を軽く取り、マヨネーズをかけて食べるとサラダ風に。ご飯と一緒に炒めれば、彩りのいいオチャ(お茶)ーハンに。少し苦味のある山菜のように、おいしくいただけます。
【日本茶・紅茶・烏龍茶は実は同じもの】
日本茶は、紅茶・烏龍茶と同じ植物から出来ているって知っていますか? 違うのは製法(発酵の度合い)だけで、基本は一緒なんです。お茶の葉には摘むと同時に発酵が始まる酵素が含まれていますが、これを加熱により止めたのが日本茶。逆にじっくり発酵させたのが紅茶で、半発酵のものが烏龍茶です。
●どうする? 初心者のお茶選び
初心者におすすめなのは、くせがなくさっぱりしている「茎(くき)茶」。熱湯でもおいしく入って、特別なテクニックもいりません。お茶買うときは、銘柄に関わらず100グラム・1000円を目安に。なかには5〜10グラムのパックを売っているお茶屋さんもあるので、最初は少量ずついろんなお茶を試してみてもいいですよね。
さらに、茂木さんが提案しているのが「ジャケ買い」。お茶屋さんに行ったはいいけれど、店員さんの専門的な話に目がテンに……。そんなときは、「パッケージの色がかわいい」といった理由で選ぶのもひとつ方法です。「困ったときはジャケ買い」と思えば、敷居が高く感じるお茶屋さんにも気軽に入れそう。
●今の季節におすすめの日本茶は?
クリスマスやお正月など、イベントごとが多いこの季節。今だからできる、日本茶の楽しみ方もあります。
「日本茶は、実は洋菓子との相性がいいんです。苦味のある深蒸し煎茶や、熱めのお湯で濃く出したコーヒー風のほうじ茶は、生クリームを使ったケーキによく合います。あとお正月には、『健康になるように』という願いを込めて、お茶に梅干や昆布を入れて飲む地域があります。味はもちろん、見た目にも楽しいですよね」
また忘年会、新年会のお供には、二日酔いに効く日本茶を。歴史を遡ると、「鎌倉幕府の三代将軍・源実朝が二日酔いをお茶で治した」という記述も残っているとか。お酒を緑茶で割ったり、チェイサーをお茶にすれば二日酔いの防止にもなります。
●お茶には肌にうれしい美容成分がたっぷり!
日本茶の茶葉にはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの美肌・美白成分がふんだんに含まれています。通常は熱で壊れるビタミンCも、日本茶のビタミンCは壊れないというから不思議。温かい状態で、ビタミンCがたっぷり補給できるんです。ただしその他の栄養成分はお湯に溶けないため、さらなる美容効果を望むなら、茶葉をフードプロセッサーで砕いて粉茶にして飲むのが正解です。
茶殻を使った美容法もおすすめ。茂木さんは、たまった茶殻を不織布ガーゼに包んでお風呂に入れているそう。
「お茶のカテキンには殺菌作用があり、ニキビ予防にもいいです。私は特別なお手入れを何もしていないのですが、大きな肌トラブルがないのは、お茶の美容成分が効いているのかな〜と思います」
日本茶には、さまざまな効果があるんですね。これまでのイメージを捨てて、生活に気軽に日本茶を取り入れてみましょう!
(文/武田京子)
茂木雅世(もきまさよ)さん日本茶アーティスト。茶育指導士。煎茶道東阿部流に入門。大学在学中の2003年より吉祥寺を中心に路上ライブを行い、各メディアで注目される。卒業後は放送作家・ライターとして執筆活動をする傍ら、大好きな煎茶を独学で学ぶ。現在、日本で唯一の「日本茶アーティスト」として、さまざまなイベントやメディアで活躍中。合言葉は「ROCK and JAPANESE TEA」で、「お茶の時間」というプロジェクト名で、飲むだけじゃない「聴くお茶」として音楽制作もしている。
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