
Vol.2 地産地消が息づくギリシャ伝統料理
今回、ギリシャの伝統料理を教えてくれたのは、由緒ある「ヨットクラブ」チーフシェフのコンスタンティノス・ヴァサロスさん。ARHESTRATOS(ギリシャ美食伝統財団)の理事も務めるなど、国内外で幅広く活躍しています。
ギリシャの伝統料理は、豊かな自然の中で育まれた野菜や魚介類をシンプルに調理したものがとても多く、素材の味を存分に味わうことができます。
「地産地消」が暮らしに溶け込んでいるギリシャ伝統料理を、ぜひ自宅で楽しんでみましょう。
【タラのガーリック添え(バカリアロス・スコルダリア)】
材料(6人分)

タラ(塩づけの半生もの)…1尾 エクストラヴァージンオリーブオイル…1/2リットル ※食材は、輸入食品を扱う店で手に入れることができます。 衣の材料: 卵…3個 水…1/2リットル 小麦粉…300g ベーキングパウダー…20g コーンスターチ…小さじ2 塩…小さじ2 ガーリックソース(スコルダリア)の材料:堅くなったパンを細かく砕いたもの…8枚分 |
作り方

余分な衣はきってから油の中へ
1. タラは一口大に切って20時間水につけておき、塩気がなくなるまで水を変える。魚の骨やうろこは、このときに除いておく。魚を押して、しっかり水気を切る。
2. 衣の材料を全部混ぜて、30分寝かせておく。
3. オリーブオイルを熱する。
4. タラの身に衣をつけて、熱したサラダ油で両面がきつね色になるまで揚げる。
5. 卵黄、酢、塩をまぜる。
6. にんにく、パン粉を加え、オリーブオイルを少しずつ加えながらもったりするまで混ぜる。
7. タラをソースと一緒に盛り付ける。
ギリシャでは、仲間たちとこのタラのガーリック添えとワイン(またはウゾー)で遅めのランチをゆっくりととることが多いそう。
淡白なタラの身ですが、かりっと揚げた衣の中には、旨みが充分に閉じ込められています。
さらに、このタラにはかかせないガーリックソースをつければ、にんにくのぴりりとしたアクセントと香りが一層、食欲を誘います。海に面した暑い国ならではの元気の出る一品です。
【ほうれん草のパイ(スパナコピタ)】

材料(4人分):
ほうれん草…500g パイ生地の材料:小麦粉…250g |
作り方

熱々のパイを切り分けている、ヴァサロス氏
1. パイ生地の材料を全て混ぜこね、生地を作ったら、冷蔵庫に短時間寝かせておく。
2. ほうれん草をよく水洗いし、熱湯でゆでた後、引き上げてよく水を切る。
3. オリーブオイルで玉ねぎとポロネギを炒める。玉ねぎとポロネギが適度に炒まったところで、ほうれん草を加える。水分が出てしんなりしてきたら、火を止め短時間冷ましておく。
4. ある程度冷めたら、フェタチーズを加え、ハードタイプのチーズとみじん切りのディルを加える。
5. バットにオリーブオイルを塗り、冷蔵庫に寝かせていたパイ生地を取り出し、半分に分けてローラーで伸ばす。バットよりやや大きめのパイ生地を2枚作る。1つはバットにしき、バットのふちから少し出るようにパイ生地を伸ばしておく。
6. 5にほうれん草の具をまんべんなくのせていき、さらに上から2枚目のパイ生地をのせる。
7. 上下2枚のパイ生地はバットのふちから出ている端の部分を重ねて内側に折り込み、あらかじめポーションごとに切れ目を入れ、最後に、160℃に余熱しておいたオーブンで40分間焼く。
パスタの母と云われているのが、このパイ生地。
さくっとした食感の印象を持つ一般的なパイより、どっしりとして重いこの生地は、素朴な味わいで気持ちをほっと和ませてくれます。
ほうれん草とフェタチーズの絶妙な組み合わせは、日本食にはない深い味わい。母から子へと代々受け継がれてきたこの料理は、まさにギリシャのおふくろの味といえるでしょう。