
ベジタリアンフードに心地よさを求める―
いまこのフレーズに違和感をおぼえたなら、それは誤解している証拠。
アジアには、無理を強いないベジタリアンフードがあるから。
[taiwan] 中一素食店

敬虔な仏教徒が多い台湾では、素食文化が広く親しまれている。素食とは粗末な食事のことではなく、ファーストフードのように街のあちこちで見かける台湾伝統の菜食文化だ。ベジタリアンフードはまったく珍しいものではなく、最近では若い女性の人気を集めているという。理由はユニークなその一面にある。素材はすべて野菜のみにもかかわらず、肉を使った中華料理のような豪華さ。でも低カロリー、低コレステロールと、美容や健康にとても効果があるフードスタイルなのだ。
そんな台湾素食を日本でも手軽に楽しめるのが、東京・国立にある中一素食店。日本でも最近注目を浴びていると聞く。

「肉じゃないと聞いて驚くお客さんもいらっしゃいますよ」
そう、食べれば、確かに肉や魚と同じ食感に驚く。料理の食材として使われる、肉そっくりなソイミートは取り寄せもできるので、気になる人はぜひ一度試してほしい。クセになりそうな味わいには、さらに秘密がある。仏教の教えの中で五葷(ごくん)と呼ばれる野菜、ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウなどは一切使わない。
「これらの野菜はすべて刺激物、健康な人には滋養になっても、疲れた人には強すぎます」
彩り豊かな料理を口に運ぶたびに広がる優しい味わい。台湾素食の根源は、医食同源に根ざした深い体への愛情だということが伝わってくる。
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[india] ナラタジ銀座店

エレベーターが開くと、ほのかにスパイスの香り……。銀座の一等地にあるのに上質なエスニック気分に浸れてしまうのが、自然派インド料理のナラタジだ。
素材に肉や魚は一切使わない。菜食文化が根付いているインドでは、例えばジャイナ教の僧侶は虫も殺さない。インドには命の大切さを訴えかけるような料理が豊富にあるのだ。
ナタラジはそんな文化を日本に伝えるために16年前にオープンした。
しかし、インドでは野菜がとても生き生きしているのに対し、日本の野菜には生気がなく、これでは本物とは言えない。
「そこで思い切って有機農法で育てた野菜を使ってみました」
マネージャーの松川さんは、普通の野菜とはかけ離れたうまみの深さに驚いたという。

野菜の味を引き立てるのはスパイス。
「たくさんのお客さまが、ここのスパイスは体から力が湧き上がってくるようだとおっしゃってくれます」
確かに、とがった辛さがない。なのに汗が出る。うまみが深い。熱さが体の奥底から湧き上がってくるのは、自然の味わいを追求しつづけたからなのだ。さらに健康に配慮して、マクロビオティックのメニューもある。
野菜がもっと元気になるこれからの季節、心も体ももっと軽やかになれる料理を期待せずにはいられない。
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