一杯のコーヒーと過ごす何気なくて特別な時間:PADDLERS COFFEEのこと教えてください

桜の花びらが舞う2015年4月、PADDLERS COFFEE(パドラーズコーヒー)が幡ヶ谷と代々木上原の間にある西原商店街のはずれに、旗艦店をオープンしました。

PADDLERS COFFEEは2013年にスタートし、そこから2年間、参宮橋と神宮前でコーヒースタンドとして活動してきました。

今回オープンした新店舗では、サードウェーブをけん引し続けるアメリカ・ポートランド発 STUMPTOWN COFFEE ROASTERS の新鮮なコーヒー豆を使った、日本初で唯一のエスプレッソを味わうことができます。

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真鍮、ウォルナット、ホワイトオークの3つの要素をメインとしたウッディな空間に、コーヒーの香りが溶け込みます。

PADDLERS COFFEE を訪れるならば、朝が断然オススメです。店内にはアナログレコードの音楽が流れていて、朝の新鮮な空気との相性がすごくいい。そして、心地いい。

窓の外を見ると、通学・通勤をする近隣の人々の姿がありました。やさしく澄んだ日常的な朝の風景。

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店主である松島大介さんがフレンチプレスのコーヒーを持って来てくれました。

高校から渡米し、10代の半分以上をポートランドで過ごした松島さん。コーヒーを飲みながら、新店舗に込めた思い、コーヒーについて、ポートランドについて、うかがいました。

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-オープンおめでとうございます。オープン直後とは思えないほど、落ち着く空間ですね。

ありがとうございます。PADDLERS COFFEE では役割分担をしていて、カウンター内のことはパートナーである加藤が担当、僕はお店の内装やビジュアル面を中心に手がけました。

内装は基本的にすべて手作り。ここは昔、物件オーナーのお母さんが暮らしていた住居で、室内を解体するところから、半年かけて少しずつ作っていきました。友人に大工さん、水道屋さん、電気屋さんがいて、みんなの協力があって出来た空間ですね。

買ったものはディスプレイ棚とカウンター前の大きなテーブルくらいで、どちらもビンテージ。他はすべてオリジナルで作ったものです。

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トイレへ迎え入れるような、木に囲まれた小さな廊下。松島さんのこだわりのひとつ。

ーすべて手作りというと…?

デザイナーや業者を入れずに、仲間と知恵をしぼって、みんなで PADDLERS COFFEE が目指す世界観を追求したんです。

メインのカウンター、ドアや窓枠といった建具、コースターや家具全般などは、すべて MOBLEY WORKS の鰤岡さんに作っていただきました。

鰤岡さんと一緒にポートランドへ買い付けに行ったんですよ。ホームセンターや道具屋さんを巡る中で、お互いに深いところまで感覚を共有できたことが、さらにいい店作りへとつながっていきました。

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MOBLEY WORKS による特注家具。ペンデルトンの工場やアウトレットまで生地を買い付けに行った。

日本では売っていないマイナスビスを別注して作ってもらったり、カウンターに大きな丸みをつけてもらったり、かなり無理なお願いもしたけど、鰤岡さんはその要望をさらに超えるモノづくりをしてくれました。

友人や知人、仲間たちと協力して、自分たちの手と足を動かして完成した空間ですね。作っているときは大変だったけど、振り返るとすごく楽しかった。

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STUMPTOWN COFFEE ROASTERS の豆を購入することも可能

-朝7:30からの開店って珍しいですよね。

まさしくポートランドタイム。通学や通勤途中に寄ってもらえたらいいなと思っています。

目指しているのは「ありそうでない」コミュニティスペースを作ること。お店ってお客さんのテイストが偏りやすい傾向にあるけど、この店はそうはしたくなかった。

通勤途中にコーヒーを買いにくる人、ファッション感覚で来てくれる人、ポートランドやスタンプタウンを知らない人、老若男女、多様なお客さんに来てほしい。かっこ良すぎない、誰でも気軽に入れるお店にしたいんです。

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-このマグカップがすごくかわいいなと、さっきから見とれてしまって…。

これは Shino Takeda さんというニューヨークのセラミックアーティストの作品。ポートランドのセレクトショップで一目惚れして、ニューヨークまで会いに行ったんです。

そこから仲良くなって、PADDLERS COFFEE のためにオリジナルのマグカップと花瓶を作ってもらいました。手作りだから一つ一つ色やカタチが違う。毎回違うカップが出てきたら楽しいんじゃないかなって。

この店は日本だけでなく、ポートランドを通じた仲間たちにも大きく支えられています。

カウンター前の大きなテーブルはもともとエースホテルのオーナーが所有していて、セレクトショップ Beam & Anchor で出会ったもの。音楽全般は Mississippi Records から。ソファは Revive Design。セレクトショップの LOWELL にバックをデザインしてもらったり。オープニングの日にはレストラン Navarre の夫婦が厨房に入って料理を作ってくれました。

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コーヒーについてわからないことがあれば、バリスタの加藤健宏さんがフレンドリーに教えてくれます。

-PADDLERS COFFEE はいま日本で一番ポートランドイズムが感じられる場だと思うんです。

ポートランドの魅力は、ダントツで「人」。ポートランドの人たちは、見返りを求めずに100%を尽くして与えてくれる。僕たちはそこを継承したいという思いが強いんです。

友達でも、初めて来る人にも、ポートランドの人は平等にやさしく接してくれる。どれだけお店に行列が出来ていても、店員さんはお客さんと会話して、コミュニケーションを楽しむ余裕を持っている。接客について、ポートランドから学ぶことが本当に多くて。

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ポートランドで買い集めたカセットテープ

例えば、僕たちは音楽をiPodでループせず、レコードやテープを一回ずつ替えています。

オープニングの日もたくさんの人が来てくれてかなり忙しかったけど、レコードを裏返すこと、テープを替えることで自分たちなりのリズムをとっていた。

そうやってひとつ手を加えることで、心の余裕が生まれていい接客にもつながっていくんだと思うんです。これもポートランド Courier Coffee Roasters の Joel が教えてくれたことですね。

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加藤さんの手から生まれるカフェラテと Shino Takeda さんの花瓶

-PADDLERS COFFEE のこれからについて教えてください。

コーヒー以外の要素との組み合わせから、なにかおもしろいものが作れたらいいなと思います。コーヒーって何でも合うと思うんですよね。例えば映画とコーヒー。スクリーンを下げてみんなでコーヒーやお酒を飲みながら上映会するのも楽しそう。

ギャラリースペースも併設させているので、地方のお店がここでポップアップショップをしたり、アートの展示会やワークショップをしたり。コーヒー以外の要素が入ればお客さんの層が広がって刺激的だし、僕たちにとってもうれしいことです。

-ルーミーでもここでミーティングやイベントが出来たらいいなあって思います。

うん、ぜひぜひ。同窓会や結婚式の二次会でもいい、みんなが集まれる「場」としてオープンにしておきたい。コーヒーを介して人と人との繋がりが生まれたらいいなと思っています。

-これからも楽しみにしています。ありがとうございました。

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外にはウッドデッキがあり、その中央に樹齢50年の桜の木が腰をすえています。この物件を選ぶ決め手となったほど、この大木に大きな可能性を感じたといいます。

花が咲いて、葉が茂り、散って、芽が出る。四季の変化に寄り添う場所。そして、松島さんと加藤さんの人柄から生まれる居心地のいい空間とおいしいコーヒー。

ありそうでなかった、日常の喜びを体感できるコーヒーショップです。


PADDLERS COFFEE

ADDRESS
東京都 渋谷区西原2-26-5

OPEN
7:30-18:00

Photographed by Kenta Terunuma

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ルーミー編集長。部屋でラジオを聞くのが好き。オレゴン州ポートランドで学生時代を過ごす。ちょっと広めの部屋に引っ越したので諸々一新しようと、いえなか・いえもの情報を収集する日々。完全に公私混同しているのはここだけの秘密です。執筆記事一覧はこちら

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